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旅・交通 バックナンバー2/2

オイル・サーチャージ

このゴールデンウィークに海外に出かけた方も多いかも知れません。

 頻繁に海外に行っている方なら「何をいまさら」ということかも知れませんが、オイル・サーチャージ(燃油特別付加運賃)が結構高くて、予想外の値段がかかったという方、あまりの高さに旅行先を買えた、あるいは旅行を断念したという方も多いと思います。

 それまでき、空港使用料、保安料、出入国税など、付加される金額は知れていました。

 なお、航空運賃は二国間の協定で定められることが一般的なため、通常、オイル・サーチャージ料金については通常双方の航空会社間で調整した後に、政府に対して申請、認可されるという手続きをとります。
 計算方法自体はクリアで、例えば、日本を含むアジア地域では、シンガポール市場のケロシン(kerosene。灯油)を指標とし、例えば「一定の期間、1バレルあた○○ドル」など運行会社が定めた基準を下回るようなことがあれば廃止されることになっています。

 本当に、原油価格は下がるのでしょうか。
 単に需給の関係で、原油の価格が上がっているわけではありません。

 現在、世界的に信用収縮が発生しており、株価などが下がっています。一方で、ヘッジファンド、産油国などは莫大な外貨準備高をもっており、運用先を必要としています。
 そういったダブついたお金が、株や債権に行かず(行けず)、原油や穀物といった商品を、金融商品として買っているのです。
 実需から見た原油の適正価格(平成20年5月6現在、1バレル=120ドル)は、現在の価格の半分の60ドル程度、残り半分の60ドル程度は、投機的な理由によるかさ上げ分といわれています。

 上がることはあっても下がる見込みはないでしょう。

 なお、燃油価格の高騰は、航空会社の収益を相当悪化させており、例えば、アメリカではデルタ航空やノースウエスト航空など、日本でも、旧型の燃費を食う機材を多数保有している日本航空は苦しく、比較的新型の航空機を多く保有している全日空は有利です。

 なお、パンフレットの表記の問題もあります。
 旅行のパンフレットなどにおいて、オイル・サーチャージが料金に上乗せされる場合においてもこの上乗せ料金のことについてはすみの方に小さく書いてあることが多いです。
 旅慣れた人なら当然ですが、めったに海外に行かない人なら大事です。
 この上乗せ料金が少額小なら、あまり問題もありませんが、5万円の旅行で2万のオイル・サーチャージ(つまり、実際は7万円)がかかるなど、かなり高額の上乗せになることも多く、大きく書いてある旅行料金表示と、オイルサーチャージを含めた実際の旅行料金は異なることになるが、説明がわかりにくいためにお金を払う段階になって気づく消費者も多く、苦情が出ることも多いようです。
 もっとも、一部証拠金を出す前に、合計金額を知らされますから、その時点でやめる人はやめますから、消費者センターへの苦情は多くないようです。

 なお、サーチャージとは、突発的な事情で発生した費用について航空会社や船会社が請求する割増料で、一般的なものです。
 カレンシーサーチャージ(Currency Surcharge。為替差益を調整する割増)、コンジェスチョンサーチャージ(congestion surcharge。港湾荷役の渋滞に伴う割増)などがあり、プロ対プロなら常識として問題ないのですが、プロ対アマということになると「あつれき」をおこします。

 オイル・サーチャージの今後は、ここ1、2年先くらいのスパンで考えると、値下げは望み薄で、むしろ値上げ傾向でしょう。

 あくまで、不可料金は一時的なもので、これだけ恒常的になると、本来の航空運賃に組み込めば良さそうなものですが、そうはならないようです。
 理由はわかりません。

 なお、マイルを貯めると特典航空券をもらって、タダ(空港使用料、保安料、出入国税などを除く)で旅行ができるはずですが、無料航空券でも、オイル・サーチャージはしっかりとられます(米系航空会社の一部は徴収しません)。
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