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旅・交通 バックナンバー2/2

スイッチバック

鉄道の線路を敷くとします。

 目的地と目的地に山などの障害物があったらどのように線路を敷くでしょうか。

 通常は、トンネルを掘って線路を通しますね。
 山陽新幹線などは西宮市の門戸厄神あたりから、長い長いトンネルが続きます。新幹線の新神戸駅も、駅のところだけ地上に出ているという感じです。

 あと、目的地の駅が山上にあったり、トンネル掘削が難しいというところはどうするでしょう。
 まず、1つは「スイッチバック」です。
 「険しい斜面を登坂・降坂するために、ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に曲折する線路」というと難しいようですが、ジグザグ運転をしながら上る線路のことです。
 乗客から見ると、自分の座席の進行方向に進んでいったと思うと、今度は自分の座席と反対方向に進みはじめ、これを繰り返しながら上方に進んでいきます。
 土木技術が未熟なため、スイッチバックにしていた線路も、土木技術の発展とともにトンネルへとかわっていきます。

 あと1つは「ループ線」です。
 これはわかりやすいですね。
 円を描きながら、だんだん上方に上っていくという方法です。
 円は、山の斜面に沿ってもいいですし、橋を架けて線路を走らせる方法もあります。

 「スイッチバック」「ループ線」も、あまり都会では見ません。需要が多いのでしたら、こんな迂遠なことをするくらいなら、トンネルを掘った方が効率的です。

 ちなみに、これらが売り物になっている鉄道もあります。

 スイスのグリンデンヴァルト(やたら日本人観光客の多い町です)からクライネシャイデック(ユングフラウ鉄道に乗換える駅です。ユングフラウの他、アイガー北壁やメンヒも見られます)へ行く鉄道は、グルントという駅でスイッチバックします。
 駅名が「グルント」というくらいですから文字通り低い位置にあり、ハイキングコースの最寄り駅で、山を上るためのスイッチバックではありません。

 ループ銭線といえば、やはりスイスのベルニナ鉄道です。
 サン・モリッツからイタリアのベルリナに行く鉄道ですが、ループ線が多く、途中のランドヴァッサー橋あたりは絶景といっていいでしょう。
 サン・モリッツからツェルマットに行く氷河鉄道が有名ですが、氷河鉄道に乗っていても氷河は見られません。念のため。
 ベルニナ鉄道なら、長いトンネルを殆ど掘らずにアルプスを越えているので、車窓から氷河を見ることができます。
 個人的には、ベルニナ鉄道がお勧めなのですが、無名なためか、日本人団体客はあまりいません。
 かといって、イタリア領のベルニナ駅はある意味行き止まりで、そのまま引返すのもばからしいですが、スイスのルガノへ行くバスも本数が少ないので、素直に引返すのが正解かも知れません。

 日本の土木技術、特にトンネル掘削、大橋梁の架設技術は世界一といっていいでしょう。
 しかし、そのため、車窓の風景を楽しむという旅の風情はなくなってしまいます。

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