2013年バックナンバー
東京電力福島第1原子力発電所の停電
1号機と3号機、4号機の使用済み燃料プール、および、敷地内にある使用済み燃料を専用に保管している共用プールで冷却システムが停止したのですが、使用済み燃料は、冷却を続けないと温度が上がり続け、65度(安全のための基準となる保安規定)以上になるとその後短時間で水位が下がり、燃料棒が露出し、燃料棒が外気に触れると放射性物質が飛散するので、かなり危険な状態になるとのことです。
原因について東京電力は、「仮設配電盤を目視確認したところ、損傷はなかった」とするが、調査を進めている最中だそうです。
東京電力は、問題がありそうな部分を一つ一つ点検していき、最後に可能性が残ったのが3、4号機の仮設配電盤だった。この配電盤は、平成23年3月の事故直後の3月18日ごろに設置され、そのままトラックの荷台に置かれた状態で、ずっと使われてきていました。
屋外使用可能な仕様のようですが、「雨ざらし」だったようです。
つながれた装置は、3、4号機と共用プールの冷却装置など重要なものが多かったのに「仮設」配電盤を利用していたようです。
本来なら、ちゃんとした配電盤にして、バックアップの電源くらい用意しておけばよさそうなものです。
今回は、大事に至らずにすんだようですが、燃料プールの冷却が一時ストップした事実は重いですね。
事故直後の、福島原子力発電事故独立検証委員会(民間事故調)の「調査・検証報告書」によりますとと、燃料プールへの注水が不可能となり、核燃料がむき出しとなって破損、溶融してコンクリートと反応し大量の放射性物質を放出するという「最悪のシナリオ」が描かれていたことがわかります。
第4号機は、今もプール内に1533本の使用済み核燃料があります。
第1、第2、第3号機と比べてその本数は圧倒的に多い数です。
第4号機の現状は、プールの底は何十本もの鉄製の支柱を設置して耐震補強したうえ、コンクリートで固められています。
東京電力の担当者は「壁にひびが入っていないか、強度が低下していないかを定期的に検査している」としていますが、その程度で大丈夫なのでしょうか。
今回のトラブルで、原子力発電事故から2年以上が経過した今も、燃料プールの冷却が失われる危険性と隣り合わせであり、民間事故調がもっとも危惧していた「最悪のシナリオ」が完全に消え去ったわけではない現実があきらかになりました。