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2013年バックナンバー

キプロスの預金課税

キプロスという四国より小さい島が、世界の金融市場のかく乱要因となっています。

 キプロスは、ギリシャ系のキプロス共和国とトルコ系のキプロス・トルコ共和国に別れています。
 といっても、キプロス・トルコ共和国は、トルコしか承認しておらず、実質的にトルコの占領地ということになっています。
 トルコ人とギリシャ人は仲が悪いですね。ギリシャは、長期間トルコの支配下にありました。
 トルコはEUに加盟したいのですが、キリスト教国でないこと、国土を持たない流浪のクルド人を弾圧していること、あと、キプロス問題がネックになって、EUには加入できていません。

 問題となっているのは、キプロス共和国の方で、ギリシャと同じくユーロを使用しています。キプロス・トルコ共和国の方は、トルコリラが流通しています。


 欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合や国際通貨基金(IMF)は、キプロスに100億ユーロ(約1兆2400億円)を融資する代わりに、キプロスの金融機関の全預金口座に6.57~9.9%の税金をかけることを決めました。
 口座からの預金引き出しを防ぐため、キプロス政府は一部の預金の封鎖を続けています。

 キプロスの議会は、平成25年3月19日、国内銀行の預金課税を盛込んだ法案を否決しました。

 キプロスに100億ユーロ(約1兆2400億円)を融資するということは、難しくなりました。


 日本人が、全預金口座元金が、一律6.57~9.9%カットということになれば「何でだ」ということになりますね。
 普通に考えると「異常」です。


 欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合や国際通貨基金(IMF)が、融資の条件として、キプロスの金融機関の全預金口座に6.57~9.9%の税金をかけることにしたのは理由があります。

 キプロスが、不透明なタックスヘイブン(租税回避地)の世界リストにはいっていることです。
 その多くは、ロシアからのマネーであり、キプロスの銀行にあるロシアマネーは、ロシアの下院議員の説明によりますと「約200億ドル(約1兆9000億円)」ともいわれています。
 ちなみに、キプロスのGDPは、246.9億ドルにすぎません。

 キプロスに100億ユーロ(約1兆2400億円)を融資する目的は、金融機関の破綻を避けるためですから、EUやIMFが、ロシアマネーを助けることに用いられてしまうということになります。

 ちなみに、アイスランドでは、平成20年、銀行が経営破たんした際、アイルランドやギリシャとは違い、アイスランドは政府の資金を投入して銀行を救済する道を選びませんでした。
 銀行が破綻すれば、預金者は、少額預金は別として、預金額の「一部」か「0」かになってしまいます。

 それに比べればマシですね。


 キプロスは金融支援がなければ、デフォルトするとみられ、ユーロ圏に対する投資家の信認が再び揺らぎかねない事態となっています。

 今後ユーロ危機が再燃することになるのでしょうか。
 もっとも、キプロスの経済規模はユーロ圏全体の僅か0.5%程度しかありません。
 経済規模は関係ないのかも知れませんが・・

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