2013年バックナンバー
0増5減
与党は、「違憲状態を解消する公選法改正案の審議は当然だ」と主張しましたが、新党改革を除く野党各党は反対し、民主党、日本維新の会、みんなの党、生活党、社民党、みどりの風の6党は会談後、公選法改正案について「(0増5減では不十分だとする)複数の高裁判決を無視した法案の成立には慎重であるべきだ」との認識で一致ました。
現実に、衆院選挙区画定審議会が、平成25年3月28日、安倍晋三首相に勧告した衆院小選挙区の「0増5減」を含む区割り改定案では、「一票の格差」が実質的には2倍以上となる選挙区が多数あることが分かりました。
改定案は平成22年10月時点の国勢調査の人口を基準にしています。
10年ごとに行われる国勢調査による人口数に基づき計算されますから、これは正当です。
ただ、各自治体が公表している平成25年1月の人口(速報値を含む)に基づいて格差を試算すると、改定案の人口上位10選挙区のうち8選挙区で「格差2倍以上」となっています。既に3年経過していますから。
試算によりますと、改定案で人口最少となった鳥取2区と、最大の東京16区(江戸川区)の場合、一票の格差は1.998倍から2.004倍に拡大し、最大の格差が生じたのは兵庫6区(伊丹市、宝塚市、川西市)で、1.986倍から2.036倍に広がります。
また、新たな区割りで2番目に人口が少なく、平成15年1月現在、鳥取2区よりも人口が減った福島4区(会津若松市、喜多方市、南会津郡、耶麻郡、河沼郡、大沼郡)を基準にしますと、改定案の人口上位10選挙区のうち9選挙区が2倍を超えることになります。
かといって、今から審議していたのでは、今年の夏にも予想される、最高裁判所の判決に間に合うはずもありません。
「0増5減」は、平成22年10月時点の国勢調査の人口を基準にすれば、2倍にはなっていません。
前回の総選挙は、違憲で仕方がないでしょう。
しかし、「0増5減」で区割りをして周知期間をおけば、違憲というは判決できなかったでしょう。
最高裁判所を怒らせるのは得策ではありません。
「0増5減」+「区割り法案」を、衆議院の3分の2による再可決を先にするのが、最も「まし」な方法です。
あとは、去年の12月から4年経過するまでに、定数削減を含めた、抜本改正をするのが好ましいと考えられます。