本文へ移動

2013年バックナンバー

放射性物質の貯水

東京電力・福島第一原子力発電所の汚染水処理が、「破綻の瀬戸際」にあります。
  というか「お前はもう死んでいる」状態かも知れません。

 平成25年4月16日、福島第一原子力発電にて、海抜35メートルの高台に設置された2号地下貯水槽(貯水容量1万4000トン)から最大で120トンもの放射能汚染水が漏れ出している事実が判明しました。
 地下貯水槽に含まれる放射性物質の濃度はきわめて高い。「タービン建屋内の滞留水の半分程度」です。
 また、翌7日には隣接する3号(貯水容量1万1000トン)からも微量ながら汚染水が漏洩していることを東京電力が認めました。

 東京電力は現在、2号貯水槽から、それまで未使用だった1号、6号貯水槽(貯水容量は、それぞれ各1万3000トン、1万トン)に汚染水を移送する作業を続けています。
 また、微妙な汚染水の漏出により、新たに安全性に懸念が持たれている3号地下貯水槽の貯水量も減らす取り組みに着手しました。

 今度は何と、翌々9日には、移転先の1号貯水槽から汚染水の漏出がありました。

 貯水槽は、ポリエチレンやベントナイトなど、わずか3層のシートで構成されていて、ストロンチウムなど放射性物質を含む大量の汚染水を管理する地下貯水槽は、移送先の施設についても安全性に疑いが持たれています。

 福島県は、東京電力に「すべての汚染水を地下貯水槽から鋼鉄製タンクに移すこと」などを含む4項目の要請をしています。

 地下貯水槽は、平成25年2月に使用を開始したばかりの新しい施設です。
 これまで汚染水は地上に設置した仮設タンクで保管してきました。
 しかし、タンクを置くスペースも減っており、地面に穴を掘れば限られた敷地でより多くの汚染水が保管できるとの考えで計画されたという経緯です。
 貯水槽はいずれも掘り下げた地面の上に3層の防水シートを敷いた構造です。
 何か、校庭にプール設置の余裕がない小学校や幼稚園が、夏季限定で、ビニールプールをつくったようで、「お粗末」としか考えられません。

 まず、120トンの汚染水は、どこへ行ったのでしょう。
 地下水に混じったのでしょうか、そうではなく海中に流れたのが多くを占めると思います。
 ますます「風評被害」で、漁業従事者に不利になります。

 次に、2号貯水槽、3号貯水槽がアウト、1号貯水槽もアウトですから、汚染水処理は綱渡りどころか破綻しています。
 4、5、6、7号貯水槽も欠陥でしょう。同時期に造られた1、2、3号貯水槽が欠陥でしたから。

 平成25年4月8日の記者会見で、東京電力の尾野・原子力立地本部長代理は「すべての汚染水を(地下貯水槽と比べて安全性が高いとされる)鋼鉄製タンクに移し替えるには物理的にタンクの容量がまったく足りない」と発言しています。
 「漏洩の原因を見極めつつ、時間的経過の中で最終的な保管形態を考えたい」と深刻な事情を明らかにしましたが、いわば「お手上げ」です。

 東京電力は、平成25年度上期に増設を予定している12.6万トン分をはじめめとしたタンクの設置を前倒しすることを目標としていますが、毎日400トンのペースで増続ける汚染水の収容が間に合う保障もありません。というか、うまくいかない確率が高いですね。

 抜本的な、汚染水処理はできないのでしょうか。

 「放射性汚染水の増加」をご覧下さい。

 多核種除去設備(ALPS)という放射能除去装置が準備されています。
 平成25年3月30日から試験運転されています。

 1日約500トンの処理能力があり、汚染水浄化の切札と言われていますが、廃棄物保管容器の強度不足が判明し、今も稼働に至っていません。
 なお、保管中の汚染水は26万立方メートルとして、今、ALPSが稼働しても、1日約400トンの地下水が流込んできて、1日約500トンの処理ですから、差引1日100トンの処理、2600日かかります。

 また、たとえ、ALPSが稼働しても、処理後の水には除去できない放射性トリチウムも残ります。

 放射線トリチウムの汚染水は、海中投棄するしかないでしょう。
 漁業従事者は廃業かも知れません。
 また、とりあえずは汚染水は黒潮に乗って北上しますが、放射線トリチウム入りの海産物は関西を含めた日本全体に来ますね。

 さあ、どうしましょう。

TOPへ戻る