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2013年バックナンバー

行政書士の権限

平成25年5月29日、広島高等裁判所松江支部が、大阪弁護士会が鳥取県の行政書士を弁護士法違反容疑で刑事告発した問題をめぐり、この行政書士が「不当な告発と報道発表により精神的損害を被った」として同弁護士会に慰謝料など220万円の支払いを求めた事件について、一審判決を支持して、控訴を棄却する判決をしました。

 なお、新聞報道で、判例集などに掲載されているものではありません。

 当該行政書士は、離婚などに伴う慰謝料請求の書類作成をインターネット上で宣伝し、平成20年11月、大阪府の女性から内縁の夫の不倫について相談を受け、当該行政書士は翌月、行政書士自身を「代書人」と記して不倫相手の女性に慰謝料を求める書類を作成し、内容証明郵便で相手に送付しました。

 「女性から依頼された業務は弁護士法に定められた「法律事件」に関するもので、行政書士もそれを認識していた」「法律的知見などに基づいて主体的に女性を指導しており、行政書士に許される書類作成のための相談業務の範囲を大きく逸脱している」としました。

 行政書士が、行政書士自身を「代書人」と記して不倫相手の女性に慰謝料を求める書類を作成し、内容証明郵便で相手に送付することは違法です。

 結構、こういう事件が多いようです。
 インターネットの広告でよく見ます。


 行政書士が、行政書士宛に連絡するように内容証明郵便に記載することは勝手ですが、行政書士には最初から代理権がありませんから、相手が、本人に連絡することは自由で、とがめることはできません。

 弁護士なら、弁護士が代理人として、受任通知を出している以上、本人に連絡してはならず、弁護士に連絡しないといけません。
 本人に連絡したりすると「面談・架電禁止の仮処分」申請がなされますし、発令された「面談・架電禁止の仮処分」を無視すると、強要罪、脅迫罪の刑事事件として、警察が動きます。

 なお、140万円以下の請求の場合、認定を受けた司法書士は弁護士と同様、代理権をもちます。ただ、司法書士は、「面談・架電禁止の仮処分」申請はできず、結局、全事件を弁護士に「丸投げ」せざるをえません。
 最初から、請求額が140万円をこえていれば、司法書士には代理権はありません。


 最初から、弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 「弁護士」「司法書士」「行政書士」と、区別がつかない人もいるかも知れません。
 ちゃんと区別して、適した有資格者に依頼してください。
 間違えて損をするのは、依頼する人です。

 なお「広告をするくらいだから権限があるのでは」というのは誤解です。
 だから、大阪弁護士会が告発したのですね。
 結果は、広島高等裁判所松江支部の判決のとおりです。 

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