本文へ移動

2013年バックナンバー

日韓請求権協定

 

「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」をご覧下さい。

 昭和40年6月22日に締結されています。

 読みやすくするため、一部、表現を変えています。

第一条
1 日本国は、大韓民国に対し、
(a)現在において1080億円に換算される3億米ドルに等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から10年の期間にわたつて無償で供与するものとする。
 各年における生産物及び役務の供与は、現在において108億円に換算される3000万米ドルに等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。
(b)現在において720億円に換算される2億米ドルに等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から10年の期間にわたつて行なうものとする。
 この貸付けは、日本国の海外経済協力基金により行なわれるものとし、日本国政府は、同基金がこの貸付けを各年において均等に行ないうるために必要とする資金を確保することができるように、必要な措置を執るものとする。
 前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。
2 両締約国政府は、この条の規定の実施に関する事項について勧告を行なう権限を有する両政府間の協議機関として、両政府の代表者で構成される合同委員会を設置する。
3 両締約国政府は、この条の規定の実施のため、必要な取極を締結するものとする。

第二条
1 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
2 この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執つた特別の措置の対象となつたものを除く)に影響を及ぼすものではない。
(a)一方の締約国の国民で1947年8月15日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益
(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつて1945年8月15日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいつたもの
3 2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。

 第二条2項に「一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする」と定められています。

 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定は、第二次世界大戦で、日本と韓国が交戦したわけではなく(韓国は日本の一部でした。つまり韓国も敗戦国となります)、戦勝による賠償金を法的に支払うことはできないので、無償で3億ドル、有償で2億ドルの借款を供与し(1ドル=360円の時代で、大卒初任給2万円の時代です)無償分だけで1兆0800億円を供与し、両国間における請求権は、完全かつ最終的に解決されている、つまり、日韓併合時の、韓国の個人法人への賠償は韓国がおこない、日本は、賠償責任を負わないという規定です(第二条2項)。


 それぞれの思惑はあったでしょう。

 昭和40年6月22日ですから、日本は高度経済成長のまっただ中、前年には東京オリンピックの開催、新幹線の開通ということがありました。
 日本としても、韓国が経済的に強くなってもらわなければ「緩衝帯」としての役割は果たしませんし(韓国は北朝鮮と同様貧しかったのです)、日本の政治家に親韓派は、います。

 韓国は、朴正煕の軍事独裁政治の時代でした。
 日韓基本条約の締結を行い、有償無償で、現時点の価格にして、約1.6兆円の資金で、「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長へと結びつけようという思惑はありました。
 韓国政府は、戦時における韓国人への賠償をしていますが、本来の範囲より狭く、金額もわずかです。
 軍事独裁政治の時代でしたから、韓国が韓国人に、まともな金銭を渡すということは想定せず、富国強兵に励んだのだと思います。

 それを「今になって」ということですね。

 韓国が、条約締結当時、軍事政権であったから無効ということはありません。
 ソビエト連合は、帝政ロシアの債務の無視をしようとしましたが、国際社会が許すはずもありません。
 韓国が、国民に条約を知らせていなかったということも理由になりません。
 現在でも独裁国家はありますが、条約は有効です。

 日本政府は、昭和40年の日韓請求権協定で、個人請求権問題は解決したとの立場ですし、最高裁判所も同じです。
 「旧日本軍の従軍慰安婦問題等に関する最高裁判所判決」にありますとおり、最高裁判所も、当然同じ立場です。
 日本の条約や法令解釈は、欧米先進国共通のものです。

 韓国政府は、原爆被害者と、いわゆる従軍慰安婦、サハリン残留韓国人の3つについては協定に含まれていないと主張しています。
 理由はわかりません。
 条約は、当時日本国籍で、現在韓国国籍の人への賠償は、すべて韓国がすることが大前提となっています。
 日本人は韓国に請求できませんし、韓国人は日本に請求できません。日本人は日本に請求をし、韓国人は韓国に請求をします。

 なお、条約は、法律の上位規範ですから、条約に反する法律は無効です。
 日本でも、TPPでいくら不利になっても、日本の法律で保護するといった主張をしていた政治家がいましたが、そんなのは無茶に決まっています。

TOPへ戻る