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2013年バックナンバー

ドイツ総選挙

平成25年9月22日、ドイツの連邦議会議員選挙があります。

 ドイツは、2院制ですが、連邦参議院は、州の首相や閣僚で構成され、限られた権限しか持ちません。
 連邦首相を選出するのも、法律(一部、連邦参議院の決議が必要なものもあります)や予算を決めるのも連邦議会ですから、日本でいえば、衆議院の「総選挙」ということになります。

 「小選挙区比例代表併用制」といわれる選挙制度で、基本的には、比例代表の選挙で、全体の議席を決定するもので、日本の「小選挙区比例代表並立制」とは異なります。

 基本的に、比例代表制ですから、小党乱立の可能性があります。
 それを阻止するため、全投票数の5%以上を獲得するか、小選挙区で3名以上の当選者がいないと、比例代表の議席は0です。「5%条項」と呼ばれます。

 基本的に、比例代表制ですから、一党が過半数を制するのは難しく、連立政権を組むということになります。
 連邦首相は、キリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU。バイエルン州のみの政党。「社会」という名はついていますが、連邦議会で義席を有している政党のうち最も保守です)か、社会民主党か、いずれかの首相候補者が、絶対過半数の議席を得られるよう連立を組むことにより選出されます。

 現在は、メルケル連邦首相が党首であるキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)が、自由民主党(FDP)と過半数を制しています。

 野党は、社会民主党(SPD)、緑の党(Grune)、左翼党(Die Linke)です。


 世論調査では、メルケル連邦首相が党首であるキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)が、シュタインブリュック議員を首相候補とする社会民主党(SPD)を大きくリードしています。

 CDU/CSUが、最多の議席を得ることはほぼ確実視されています。
 それなら、メルケル連邦首相が3度目の勝利を収め、政策に大幅な変更はないかというと、そう簡単ではありません。

CDU/CSUが、単独で過半数の議席を獲得できる見込みはありません。

 CDU/CSUの現在の連立パートナーであるFDPは、小選挙区で3名以上の当選者を出すことは難しく、全投票数の5%以上を獲得しなければ、比例代表で議席は得られません。

 FDPが議席を獲得できない等、CDU/CSUがFDPと合わせても過半数議席を確保できない場合は、CDU/CSUが連立協議をして、絶対過半数の議席を得られるよう連立を組めなければ、連邦首相には選ばれません。

 社会民主党(SPD)、緑の党(Grune)、左翼党(Die Linke)の議席が絶対過半数をしめたからといって、シュタインブリュック議員を連邦首相とする連立はありえないとされています。

 第1党のCDU/CSUと、第2党のSPDが「大連立」を組めば、過半数は間違いありません。メルケル連邦首相の、第1期目の2005年~2009年には大連立を組んでいました。
 しかし、結局、第1党のCDU/CSUと、第2党のSPDが「大連立」を組めば、連邦首相を出さない方が、次の選挙で不利になることがわかっています。

 SPDが、メルケル連邦首相のCDU/CSUとの「大連立」を断固拒否しています。
 SPDは、たとえ選挙後の混乱が数カ月続くことになっても、連邦議会選挙後のCDU/CSUとの大連立復活は回避する方針を表明しています。

 CDU/CSUが、緑の党(Grune)と連立を組むことに合意できる可能性があります。
 緑の党は、環境保護政党で、メルケル首相が、脱原子力発電に「かじ」を切ったことから、水と油の関係ではなくなっています。
 ただ、これも「楽観的な空論」ともいわれています。


 結局、どう連立を組もうとしても、絶対過半数の議席を得られる連邦首相候補者がいないということもありえます。

 南ドイツ新聞記者は「連邦議会選挙で、中道左派と中道右派のどちらも過半数議席を確保できない可能性は非常に高いが、その場合は、ドイツ連邦共和国の歴史上、最も困難で、時間を要する、ドラマチックな連立協議を目撃することになるだろう」と指摘し、「勝者がすべてを得るルールはドイツの政治には通用しない」とし、「メルケル首相が必ずしもトップに立つとは限らない」としています。

 絶対過半数の議席を得られるよう連立が組まれなければ「解散」もありえます(ドイツ基本法64条。とりわけ4項)。


 もっとも、案外簡単に決まってしまうのかも知れませんね。
 選挙自体に興味のある日本人はいないでしょう。現実に、どうなっても、政策はかわりませんし、対日政策となければ、もっとかわりません。

 ちなみに、ドイツの国章は、下の「鷲」です。日本の大阪・神戸総領事館にも、国章がついています。モノクロですが、パスポートについています。

 ただ、なぜか、連邦議会の「鷲」は、「ぽっちゃり系」です。

 「鷲」が食べられるかどうかは別として、上の「鷲」は食肉部分なし、連邦議会の「鷲」は食肉部分がありそうです。

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