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2013年バックナンバー

被ばく線量

東京電力福島第1原子力発電所の汚染水漏れの態様をみると「ここは本当に日本か」というような、「おそまつ」なミスが目立ちます。

 労働安全衛生法の規則は、被ばく線量の上限を通常時で1年間50ミリシーベルトかつ5年間100ミリシーベルト、緊急時の作業期間中は100ミリシーベルトと規定しています。
 福島第1原発事故の3日後に、緊急時の上限は250ミリシーベルトに引き上げられましたが、平成24年末に100ミリシーベルトに戻されました。

 東京電力福島第1原子力発電所の作業員のうち、平成25年3月末までに被ばく線量を超えた作業員が167人、平成25年4月以降の3か月間で、被ばく線量が20ミリシーベルトを超えた人が79人、10ミリから20ミリシーベルトの人は215人に上っているとのことです。

 法定の被ばく線量をこえた作業員は、現場で働けません。
 また、被ばく線量が多い作業員については法律より厳しい基準を作って早めに現場から外す企業も多いようです。

 汚染水漏れの「おそまつ」なミスが目立つ主たる原因は、ベテラン作業員が、法定の被ばく線量をこえたり、法定の被ばく線量の限界に近づいてきたため、現場で作業できなくなったからと言われています。

 本来、先輩から後輩に、実地に技術を伝えるべきところ、先輩が後輩に、放射線量の高い現地で教えることが教えられないと言う点が致命的です。


 例えば、弁護士が、一定の時間、法廷で弁論や証人尋問をしたり、調停に立会ったので、「はい。あなたは、これ以上の仕事はできません」というようなものですね。
 これでは、先輩弁護士から後輩弁護士、裁判官との受けこたえ、尋問技術などを教えられなくなります。

 なお「もう十分。やめられた方がよいのでは」という弁護士さんも見かけますが・・


 原子力発電所で働けなくなる作業員がさらに増える可能性がありますから、東京電力や元請け業者は、作業の効率化を図って被ばく線量を軽減したり、今のうちから若い人材の育成に力を入れていく必要があるでしょう。

 ただ、今から、危険なことがわかっている、原子力発電所の作業員になる人がいるでしょうか。


 子をつくる予定がなく、細胞分裂も活発でない、中高年齢者を「特攻隊」として働いてもらうのが、国全体としてはベストなのでしょうが、かかわった人全部が刑事処分を受けてしまいますから、そうもいきません。

 収束への道は遠いかも知れません。
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