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2013年バックナンバー

帰還困難区域

平成25年10月29日、政府・与党が検討している福島復興加速化案の全容が明らかにされました。

 現在、「帰還困難区域」は「原子力災害により放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトをこえ、5年間を経過しても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域」とされています。
 年間積算放射線量が50ミリシーベルト超の「帰還困難区域」について、帰還まで長期の時間がかかることを明確にした上で、移住先で住宅を確保できるよう賠償金を手厚くするという内容です。

 また、自由民主党の石破幹事長は、平成25年11月2日の討論会で、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、長期にわたって帰還が難しいとされる「帰還困難区域」について、政府は、帰還できない地域を明確にして、住民に説明すべきだという考えを示しました。


 現在の建前は、「帰還困難区域」は、「今は無理だが、将来帰還できる可能性がある」ということになります。
 「5年間を経過しても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域」ですから、平成28年3月11日まで結果は出ません。
 「もしかしたら」「帰還できる」という期待を残しています。


 今までは、避難した被災者の「全員帰還」を原則としていた対策をとっていました。
 「帰還できない」「あきらめて移住による生活再建をしてほしい」ということが残酷なため、言えなかったということです。

 避難した被災者が「全員帰還」できると本当に考えている人は、ほぼ皆無と思います。

 それなら、「帰還困難区域」に済んでいた人に、さっさと「帰還できない」「あきらめて移住による生活再建をしてほしい」と「引導を渡した」方が賢明です。
 そして「帰還困難区域」の人は、「一時的避難」ではなく、移住による生活再建を決心した方が賢明ということになります。

 また、除染にかかる費用は膨大です。
 「帰還困難区域」以外に除染などの資金を集中させて早期の帰還を後押しし、インフラ復旧に全力をあげ、病院の診療再開や商業施設の整備など生活再開の基盤も整える方が賢明です。


 また、政府は除染の長期的な目標として年間の被曝線量を1ミリシーベルト以下に定めていますが、目標は厳しすぎるとの指摘されています。

 除染が完了した田村市でも目標値を上回る場所があり、再除染しても数値が下がるとは限りません。
 環境省は今年度までに1兆円を超す資金を投入し、来年度も3252億円の予算を概算要求しています。
 現実的には、年間の被曝線量を1ミリシーベルト以下という目標は変更されるべきでしょう。
 そして、浮いたお金は、インフラ復旧に回した方が賢明です。
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