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2013年バックナンバー

戦利品

名古屋、横浜についで、プーシキン美術館展が開催されています。
 プーシキン美術館はモスクワにある美術館です。
 収蔵品の数は約10万点でエルミタージュ美術館(サンクトペテルブルグ)に次ぐ世界2位です。

 展示されているのは、主としてフランス絵画です。
 その昔、ロシアとフランスは仲がよかったですし、ロシアはフランス文化にあこがれを持っていたといわれています。


 プーシキン美術館の絵画収集者としては、以下の人物があげられています。
 エカテリーナ2世(女帝)
 ニコラ・プッサン(ロシア貴族。外交官)
アレクサンドル2世(皇帝)
 セルゲイ・シチューキン(資産家)
 イワン・モロゾフ(資産家)


 ここに記載されていない絵画収集者がいます。
 ヨシフ・スターリン(ソビエト連邦閣僚評議会議長。ソビエト連邦共産党中央委員会書記長)です。
 もしかしたら、最大のコレクターかも知れません。

 第二次世界大戦当時、ドイツの美術館にあった美術品が戦利品となって戦勝国に持去られました。

 たいていの国は、ドイツに美術品を返還しています。

 例外は旧ソ連です。
 ナチスドイツ敗北後、ソ連の戦利品部隊は、ドイツ国内から数多くの美術品をプーシキン美術館に運びました。
 プーシキン美術館が満杯になると、エルミタージュ美術館に運ばれ、さらにキエフ美術館にも運ばれました。
ドイツは返還を求め続けていますが、旧ソ連はドイツに美術品を返還していません。


 平成25年6月21日、ロシアのサンクトペテルブルクを訪れたメルケル独首相とプーチン露大統領が、旧ソ連が第二次世界大戦直後にドイツから略奪したとされる芸術品をめぐり論争を繰広げる一幕がありました。

 エルミタージュ美術館の特別展の開幕式に出席したメルケル首相は展示品の一部はドイツのものであると指摘し「ドイツに戻されるべきだ」と主張しました。

 プーチン大統領は「財宝はソ連兵の血で支払われたものだ」「ベルリンだろうがサンクトペテルブルクだろうが、どこで見られるかは一般市民には重要でない」と反論し返還要求を取下げるよう求めました。

 ドイツ政府は、旧ソ連が戦後、100万点超の芸術品などを持去ったと主張していて、返還問題は、現在ももくすぶったままです。

 メルケル首相のこの日のあいさつは、開幕式直前に、いったん中止となり、ロシア側がこの問題への言及を嫌がったためだと独メディアが大きく報じました。


 ロシアは、いったん取得したものは返還しません。
 北方領土が返還されたら大したものですが、そんなことをすると、他の国から「返還」「返還」の大合唱が起こるでしょう。
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