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2013年バックナンバー

晩節を汚す

東京都の猪瀬直樹知事は、医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受取っていたことの責任をとって、平成25年12月19日、辞職願を提出しました。

 猪瀬知事の進退については、自由民主党、公明両党は「辞職は避けられない」とみていました。
 知事を失職させるために都議会で不信任を議決する手段もありますが、知事は辞めずに議会を解散することもできます。
 都議選は、平成25年6月に行われたばかりですし、自由民主党、公明両党は「全員当選」していますから、都議選はしたくありません。
 都議会の自民、公明両会派は、設置された百条委員会で猪瀬氏を追及し、偽証容疑で告発して辞職に追込むシナリオも描いていました。

 自由民主党の高村正彦副総裁は、「都知事としての職務権限と関係する仕事をする人から5000万円の大金を受取った。この外形的事実だけで、出処進退を決断するのに十分だ」「辞任の決断が遅れると、東京オリンピックの準備にも支障が出るし、都知事として招致に成功した大きな功績を台無しにすることになる」と記者団に語り、辞任を促しました。

 猪瀬氏を後継に指名した前都知事の石原・日本維新の会共同代表は、猪瀬氏に「もう持たない。晩節を汚すことにならないようにしろ」と伝えた。猪瀬氏は「よくわかりました」と応じたそうです。
 まるで「見てきたような」話ですね。


 私は「都知事としての職務権限と関係する仕事をする人から5000万円の大金を受取った。この外形的事実だけで、出処進退を決断するのに十分だ」という話に賛成です。

 「つっこみどころ満載」でしたが、「都知事としての職務権限と関係する仕事をする人から5000万円の大金を受取った」ことを否定するのは最初から無理がありました。

 嘘をつきとおすためには、また、新しい嘘をつくしかなくなります。
 嘘をつきつづけていけば、嘘をつくたび矛盾点がでてしまいます。


 なお「晩節を汚す」とは、それまでの人生で高い評価を得てきたにも関わらず、それまでの評価を覆すような行動をして、名誉を失うことを意味します。

 高い評価を受けていた場合のみではありません。

 今まで、ちゃんとした人生を普通に送ってきたのに、老人になってから、おかしな言動をしたり不祥事を起こしたりすることも「晩節を汚す」といいます。


 なお、裁判官や検察官は、定年がありますから、「晩節を汚す」前に退職してしまうことになります。

 弁護士は定年がないですね。
 辞め時は、自分で判断するしかありません。
「晩節を汚している」弁護士さんは、結構みます。
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