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2013年バックナンバー

弁護士の不祥事

平成25年1月18日「弁護士の一連の不祥事に関する理事会決議」が出されました。

「 平成24昨年秋以降、福岡県弁護士会所属元弁護士が依頼者からの預り金等の名目で多額の金員を詐取等して詐欺罪と業務上横領罪にて懲役14年の実刑判決を受けた事件のほか、複数の弁護士会で弁護士が後見人や後見監督人の立場を利用して金員を詐取または横領するなどの不祥事が相次いで発覚しています。かかる事態は、単に当該弁護士個人の問題であるだけでなく、弁護士、弁護士会に対する市民の信頼を根底から揺るがすものです」とされています。

 弁護士向けには「預り金の取扱いに関する規程案」を意見照会というファクシミリが来ました。

 「もっとも問題と考えられる預り金の扱いについて、全国で統一的な規律を定めるか行きの制定を検討することにしました。この規程案は、預り金口座の開設と入出金状況の記録を会員に義務づけ、一定の場合には、部腰絵画会員に紹介することができ、会員に回答義務を課すこと統一的な規律内容とするものです」と記載されています。

 示談金、和解金、予納金などを、依頼者のために、弁護士が、依頼者あるいは相手方より預かる場合、個人の金銭と区別しうるよう、預り金であることが明確になる形で保管しなければならないことになっています。

 例えば、「西野佳樹」という口座に、示談金、和解金、保証金、担保金、予納金を振込ませてしまいますと、私の個人のお金なのか、預り金なのかわからなくなり、残高があるからといって、預り金の部分まで引下ろすということが生じる可能性があるからです。
 といいますか、「知らなかった」という言い訳は認めませんよということです。

 私は、平成8年に事務所開設のときから「弁護士西野佳樹保管金口座」という口座をつくっています。
 多くの法律事務所では、「預り金口弁護士○○○○」としているようです。
 中には、和解金を、個人口座に振込んでほしいという依頼がありますが、私は、指示どおりにしています。

 大阪弁護士会では、平成11年1月1日から「会員の業務上預り金の保管方法等に関する規程」が定められています。

 「会長は、預り金について次の各号にかかげる自由があるときは会員に対し、預り金の保管状況及びその出入明細について照会し、預り金口座の写しその他関連する記録の提出を求めることができる
 一 会員に懲戒事由があると思量するとき
 二 本会に対して預り金にする苦情の申し出がなされる等当該会員に指導・監督すべき相当の理由があると思量するとき」
 「会員は、会長から前条の照会を受けたときは、速やかに書面で回答するとともに、それに関連する記録・帳簿・預り金口座等の写しを提出しなければならない」となっています。

 さあ、平成11年1月1日から、弁護士が依頼者からの預り金等の名目で、金員を詐取したり横領したりするという事件が亡くなっているでしょうか。

 残念ながら「NO」です。


 弁護士会が会社で、弁護士会会長は社長、弁護士会副会長は取締役、会員弁護士は従業員というふうに錯覚している人がいるかも知れませんが、そうではありません。

 弁護士は、各人が独立採算で、弁護士会に従属などしていません。

 余計な干渉をすると「営業妨害」になってしまいますから、そう簡単にはいきません。

 難しいところですね。

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