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よもやま話 バックナンバー2/2

どちらがまし?

某リース会社社長が、近年問題になっている格差社会の問題について指摘されると「パートタイマーと無職のどちらがいいか、ということ」と発言し物議をかもしたことは記憶に新しいかも知れません。

 日本の場合、正社員について、あまりにも解雇の制限など手厚くしすぎて、好景気不景気のときの人員調整がしにくくなっています。
 右肩上がりの景気のとき、あるいは、競争が激しくなければそれでもよかったのでしょうが、現在のように不景気が続き、また、競争も、国内同業者との競争はもちろん、他国との競争をしなければならなくなると、正社員ばかりの会社は、まず、競争から脱落してしまいます。

 他に代替手段がなければともかく、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員などにより人件費を下げようとするのは経営者として当たり前の話ということになります。
 なお、パートの地位を上げようとして法改正がなされましたが、すると、派遣社員やアルバイトの方にシフトする傾向となるでしょう。優秀でやる気のあるパートは、それでなくても、正社員として雇用される傾向にありました。

 立法者は、「弱者」に「よかれ」と法律をつくりますが、経済原則に反していれば、かえって「弱者」をより悪い立場へと追い込みます。


 これを見ていると、一時の借地借家法による貸渋りをほうふつとさせます。
 かつて、借地・借家人の保護が厚いため、わざと空地にすることは当然の話、わざと空室にしている賃貸人が多かったですね。
 今でも、建物所有目的のために土地を貸すという人はいないでしょう。それなら端的に売却ですね。
 定期借地権というのがありますが、残存期間が短くなればなるほど「荒れ放題」、マンションなどは「スラム化」すると思います。
 借家は、物件もよりますが、借地借家法を理由に、わざと賃貸しないということはない状況です。


 なお、貸金業法が、経済原則に反しているから、「弱者」にかえって不利と主張する人がいます。

 もちろん、サラ金業者が、「利率を下げればヤミ金がはびこる」と偉そうにいっても迫力はないですね。
 そうでない学者なども「利率を下げればヤミ金がはびこる」と主張する人がいます。

 もっとも、現在の消費者金融から借りる人を見ていると「借りる前に、自分の収入にみあった生活をしたら」といいたくなる人が多いです。
 私の学生時などには、サラ金などはありませんでした。社会人を含め、自分の収入内で生活をし、やむを得ないときには、せいぜい「質屋」で借りていた人が多かったのではないでしょうか。
 「質屋」なら、質流れでおしまい、「取立」はありえません。そういえば、今となってはなつかしい、「電話担保」の金融屋さんもありました。

 なお、私的なものなら、戦前には無尽講がありました。第二地銀の源流です。在日韓国人の関係の相談で「無尽講」の相談は、今もあります。

 また、商品購入なら、月賦というのは、昔からありました。買うのを我慢すればいいだけの話で、深刻な問題ではありません。

 そのころに帰ればいいだけの話ですよね。

 たしかに、いつの世にも犯罪を犯す少数者がいるように、いつの世にも浪費してお金を借りようとする人がいるようです。
 そういう人の場合、ヤミ金で借りて破綻するのは仕方がありません。どうしても、手の打ちようのない人ですから。
 しかし、現在の多重債務者の問題は、基本的に「あまりの借りやすさ」から発生しているのでしょう。サラ金が実質的に存在していない時代、わずか30年程度前に戻ればいいだけです。

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