よもやま話 バックナンバー2/2
値踏み
「足もと」とは、人の家柄・経歴・身元・氏素性などのことを比喩的に言います。
ホテルやレストランの従業員は「この客は上客か上客でないか」を、その人のスーツなどの服装はもちろんですが、カバン、時計、靴などで値踏みするそうです。
スーツなどの服装、カバン、時計などは、本人も十分見られていることに気付いています。
ですから、服装、カバン、時計などは、本人も十分気をつけるのが普通です。
ところで、意外とご本人は気がついていないけれど、相手からはよく見えるのが「靴」です。
日本のビジネスマンがお洒落を考える場合、一番おざなりにしているのが靴といわれています。
特に、普段から、高級な靴を身につけるというのも悪くありません。
しかし、接客業に携わっている人に言わせると、問題は、高級かどうかではもちろんのことですが、それ以上に「くたびれた」靴を履いていないかどうかだそうです。
靴などは、手入れをしなくても十分持ちます。
しかし、高級な靴でも、くたびれた靴をはいていると「この人は、昔お金持ちだったけど、最近景気が悪くなった」と思われたりします。
こういう人って結構多いんですよ。
ちなみに「足もとを見る」という言葉の語源は、昔、江戸時代の籠かきが、これから乗せようとするお客の足もとを見て、その疲れ具合で、高い籠賃をふっかけたところからきたのだそうです。また、旅籠の接客係が、疲れていれば、高い値段をふっかけても宿泊してくれるとして宿賃をふっかけるところからきたといわれています。
なお、欧米の一流どころのホテルマンは、靴とともに、お客の持っているカバンを見て、そのお客を値踏みするというのが一般といわれています。
ただ、日本のある程度の年齢以上の弁護士は、メッキのはげた弁護士バッジとともに、「くたびれた」カバンを持つ人が結構います。お金がないからではありません。
弁護士も「相談者」や「依頼者」の値踏みをしますが、私自身は、高価なものを身につけている「相談者」や「依頼者」よりも、「きっちりしている」「相談者」や「依頼者」に好感を持つことが多いです。