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2011年バックナンバー

領収証の話

弁護士を含む自営業者は「必要経費」として処理できるかどうかを気にします。

 当然の話で「必要経費」として処理できた分については、所得税・住民税が安くなるからです。

 平成19年度から税制が変わりましたので、平成18年度までという前提で記載します。
 もっとも、税源委譲により、所得税と住民税の按分(按分)比率が変わっただけで、所得税と住民税の合計は変わらないという話ですから、多分、変わりはないのでしょう。

 所得税の計算をするときに、本来は超過累進税率の区分に応じ、それぞれの金額にそれぞれの税率を乗じて合算をします。
 ある経費を「必要経費」にあたるとした場合、どれだけ税金が減額されるのかを計算するには、限界税率、つまり、最終ブラケットの税率がいくらであるかを計算することになります。
 経費が、ブラケットをまたがるような、大きな経費でないことが前提ですが。

 例えば、平成18年度でしたら、所得(収入-経費)を計算し、そこから、もろもろの控除(基礎控除、扶養控除、配偶者控除、損害保険料控除、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、社会保険料控除、医療費控除など)を引いて課税所得を計算します。
 普通、普通に稼いでいる弁護士なら、控除の合計は300万円を優にこします。
 なお、青色申告者の専従者控除は、所得の段階で控除済みです。

 課税所得が、1800万円をこえるのなら、限界税率は所得税37%+住民税13%の50%、900万円をこえ1800万円以下なら、限界税率は、所得税30%+住民税13%の43%、900万円以下ならば(300万円をこえる。下限に近ければ別です)、限界税率は、所得税20%+住民税13%の33%となります。
 また、弁護士の場合、事業税5%が加わりますから、その分を加えるのですが、事業税は翌年申告分の損金となるので、実際いくらなのか、よくわかりません。多少、少し増えるでしょう。

 課税所得が1800万円をこえる弁護士なら、50%+α引きで購入したことになり、900万円をこえる弁護士なら43%+α引きで購入したことになり、課税所得が900万円以下の弁護士なら、33%+α引きで購入したことになる・・・・・多分そのくらいでしょう。

 なお、私は標準的な報酬をいただいています。所得は想像にお任せいたします。

 以上は、依頼者に実費請求しない場合の計算です。
 交通費など依頼者に実費請求するのなら、サラリーマンが全額会社負担になるから領収証をほしがるのと同様、全額依頼者負担になりますので、領収証は必須です。

 元に戻って、飲食費・書籍・交通費などの場合は、領収書全額が「もうけ」になるわけではありませんが、いずれにせよ、ばかにならない金額です。

 ということで、私も同様ですが、本・雑誌代金、タクシー代金、飲食費など、細かく領収証をほしがる弁護士が多いです。
 「5万円以下領収書不要」というのは、別の世界の人のお話です。

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