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2011年バックナンバー

日本人の座席へのこだわり

全日空が、広告で「ファーストクラス」「4月1日よりスタート」と表示したにもかかわらず、目玉となる新型シートが6月まで導入されなかったとして、公正取引委員会より排除命令を受けました。

 日本人は、シートへのこだわりが強いようです。

 ヨーロッパ内を飛行する、たとえばルフトハンザの、ビジネスクラスの座席と、エコノミーの座席には違いがありません。
 席が広いわけではありません、席の材質がよいわけではありません。より大きくリクライニングするわけでも、フットレストがあるわけでも、もちろん、個人用モニタがあるわけではありません。
 ちなみに、ホームページででチェックすると、ビジネスクラスのパリ・フランクフルト間の運賃は、日程により異なりますが、片道10万円を下回る料金はないのに対し、エコノミーなら2万円程度からあります。

 そして、どこがちがうかというと、まず、機体の前方にあるのと、安定した飛行中はカーテンで仕切られるのと、たとえば3席並んでいるとすると、真ん中の席に座れないよう障害物を置き、たとえばナローボディー機(真ん中に通路が1つで、通路の両側に座席があるタイプ。通常3席+3席)ですと、隣に人は座らない(カップルも離ればなれ)、窓側か通路側しか席はない、その程度です。
 別に、シャンパンがサーブされるわけでもなく、全く簡単なサンドイッチが配られる程度です。
 飛行時間3時間のフランクフルト・リスボン便でも、大した機内食は出ません。
 なお、空港ラウンジが使えますが、ビジネスマンやお金持ちは、航空会社の上級会員になっていますから、エコノミーでもラウンジは使えます。

 それでも、ビジネスクラスに乗る人は、エコノミーに乗る人と一緒に乗りたくないというのが、最大の魅力のようです。
 ある意味では「階層社会」だからでしょうか。また、ビジネスマンが、物見遊山の旅行者と隣り合わせに乗りたくはないでしょうか。

 最長でも、新千歳・那覇の約3時間20分、そのくらいなら価値はあるかも知れませんが、東京・大阪間で、「ゆったりとしたシート」と「高級料亭が提供する食事」というのも意味がないように思います。
 もっとも、日本国内線同一クラスのみというという一時期がありました。
 エコノミーの団体旅行の人と、それなりのビジネスマンが別々の席に座ることができない「国内線は全席同クラス」というのは、外国人から見たら奇異にうつったでしょうし、失礼な話ですね。


ちなみに、ルフトハンザの客室乗務員に聞いたのですが、航空機の機材繰りのため、新型ビジネスシートの機体ではなく、旧型ビジネスシートの機体がきたとき、日本人乗客から、ものすごいクレームだったそうです。

 なぜ、たかが「座席」のために、大げさになるのでしょうか。
 関空・フランクフルト間なら話はわかりますが、東京・大阪は1時間ですよ。

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