2012年バックナンバー
世代間の不平等と政治
日本の政治が、国民全体ではなく「シルバー世代」(高齢者世代)の利益を代弁しているといわれています。
20歳代、30歳代の人が、有権者全体に占める割合は、昭和55年の45%から、平成22年には30%に低下しています。
昭和55年といえば、私は、司法修習を修了し、大阪地方裁判官に任官した年です。8月の誕生日まで24歳でした。
これに対し、60歳以上の人が、有権者全体に占める割合が、昭和55年19%から、平成22年には38%まで増加しています。
平成22年といえば、私は、弁護士20年、8月の誕生日まで54歳でした。
20歳代、30歳代の若い人の投票率は低く、60歳以上の投票率は高いですから、余計、高齢者の投票数が多くなりますね。
また、高齢者に比べて、若い人は都市部に多く住んでいて、地方の方が、1票の価値は高いですから、高齢者が選ぶ議員がもっと多くなります。
人口が多く投票率も高いシルバー世代が政権の動向を左右し、日本を「高齢者のための国」に変貌させていると言われています。
年金の支給開始年齢は60歳から65歳に引上げられています。
年金支給額をおさえるなら、年金の支給開始年齢の引上げという方法もありますが、既に支給されている年金額を減額するという方法もあります。
年金受給者にしてみれば、年金の支給開始年齢の引上げは痛くもかゆくもないのに対し、年金額を減額されると生活を直撃されます。
年金の支給開始年齢の引上げが選択されたのは、政治家は、高齢者を敵に回したくないということですね。
平成24年11月16日、過去の物価下落時に年金給付額を据置き、本来の水準よりも払過ぎになっている分を解消する国民年金法改正法案が成立しました。
公的年金は、物価変動に合わせて調整することになっています。
ところが、平成11年から13年の物価下落時には、高齢者への影響に配慮して特例的に年金額が据置かれました。7兆円の「過払い」です。
平成11年から13年の物価下落時に、特例的に年金額が据置かれたのは、政治家は、高齢者を敵に回したくないということですね。
それでなくても、高齢者世代と若年者では、かける年金と、もらえる年金額に大きな不公平があるにもかかわらずということです。
最大の問題は、平気で赤字国債を増やし続けているということにあります。
高齢者は、十分すぎる年金や医療を享受しますが、高額所得の高齢者でもない限り、大した税金を負担するわけではなく、「つけ」は、現役世代、子供や、これから生まれる赤ん坊まで、税金という形で負担します。
若い人の1票を、高齢者の1票より大きくカウントすれば是正できますが、間違いなく憲法14条違反です。