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2012年バックナンバー

ウォン高

日本株が上がっています。

 もちろん「円」が弱くなって、輸出産業に有利となるからなのですが、テレビなどで表示されるのは「ドル・円」、多くとも「ユーロ・円」だけです。

 FXをしている人でも、興味のない通貨があります。
 韓国ウォンです。

 本来は、ハードカレンシーではもとよりなく世界的に通用する通貨ではありませんし、世界的にみて、まず、興味の持たれない通貨といっていいでしょう。
 日本人でも、韓国旅行した人が「1万円札を出したら、1万ウォン札が10枚になって戻ってきた」「いっぺんに金持ちになった気がした」「0を1つとればいいから、電卓も入らず、換算するのは楽」というくらいの認識しかないでしょうね。

 ただ、液晶テレビ・スマートフォンなどは、世界的にみれば、韓国製が幅を利かせていますし(もっとも、日本では、韓国製は「安かろう」「悪かろう」というイメージが強いので売れません。NTTDoCoMoのGALAXYは韓国製ですが、わざと「韓国」を目立たなくしてあります)。ただ、客観的にみて、日本製より、品質が劣るというわけではありません。
 また、現代(ヒュンダイ)の自動車は、「安価な車」ということで、海外での売れ行きはよいようですが、日本のレベルには至らないようです。

 家電製品や自動車などの民生品は、購入して分解して検討する(リバースエンジニアリング)ことが可能です。
 また、外国からの技術導入も難しくなく、定年になった日本人労働者が韓国で好待遇で働くということも報道されています。

 他方、衛星技術などは、購入して分解して検討することはできませんし、国家機密に属し、そう簡単に外国からの技術導入ができませんから、韓国は、1970年に日本が成功している人工衛星の打上げすらできず、北朝鮮にも追い越されています。
 韓国はノーベル賞にも縁がありません。


 円の年初来の対ドル下落率は7%ですが、ウォンが対ドルで上昇しているので年初来で約13%に達したそうです。

 円は、日本の総選挙後に、デフレ対策や輸出促進策が本格化するとの期待が背景にあります。政権復帰観測が流れる自民党は「無制限」の金融緩和策を強く訴えています。

 一方、ウォンは、リスクのある通貨で、金融危機になると、投機筋は、ウォン建ての資産を引揚げます。逆に、金融緩和されて、世界にお金がたぶつきだすと、ウォン建てで投資をしてみるかということになります。
 アメリカ、日本で金融緩和の動きがありますから、円は下がり、ウォンが上がるという仕組みです。

 韓国はこれまで何度も外為市場に介入してきた実績があります。
 規制当局も投機的需要を抑えるため、外国人の債券投資に源泉徴収税を導入し、銀行の先物取引のポジションに上限を設けたりしています。

 韓国の製造大手はウォン高による悪影響を打ち消すのに躍起で、為替変動のリスクヘッジに余念がないようです。


 現在、日本の液晶や半導体が、韓国に後れをとっているのは、円高・ウォン安のせいにしようという風潮があります。
 しかし、円安・ウォン高傾向になっても、韓国に後れをとるという状況が変わらなければ、いままでの「言葉」は嘘だったということになります。

 もっとも、上図を見ると、韓国が経済破綻したアジア通貨危機時代に比べてもウォンの対円相場が低いということがわかると思いますし、ちょっとやそっとの円安・ウォン高では、効果は低そうです。

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