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司法 バックナンバー 3/3

弁護士と年金

 「いったい年金はどうなる」ということがいわれています。

 若年世代のお金をあつめて、老年世代の年金に分けるというシステムですから、少子高齢化によって、「お金の集まりが悪くなり」「分配を受ける人数が増えるから、一人あたりの金額が減る」というのは必然なんでしょうね。

 戦後、厚生年金と国民年金の保険料として徴収された約500兆円のうち、約6兆9000億円が年金給付以外に使われていることが問題のようです。
 全体の1.4%とみれば小さいようですが、総額7兆円というと想像もつかない大金です。

 弁護士の場合、年金はどうなっているのでしょうか。

 自営業者ですから、国民年金の対象です。
 また、金額はごくわずかですが、司法修習生のときに、給料から長期の共済年金の天引きをされていますから、2年分(現在は修習期間が短かくなっています)の共済年金を受取れます。
 ちなみに、私は裁判官を10年していますから、12年分の共済年金が「雀の涙」ということはないと信じたいです。

 弁護士は、日本弁護士連合会の国民年金基金に加入している方も、結構おられます。
 小規模企業共済に加入して退職金代わりにしようと考えられておられる方も多いです。
 国民年金基金・小規模企業共済の掛金は、全額、所得税控除の対象になりますから、利用しない理由はありません。

 ところで、あまり、弁護士仲間で「年金がどうした こうした」という話は聞きません。
 弁護士のうちで、老後を、年金で生活するという考えの方は「少数派」のようです。
 ある意味、自分が元気であれば、定年のない職業の強みで、一般社会の方が、定年となってからも、現役の弁護士として働いて稼げるからです。
 一般の会社と違って、「ポスト」の数に制約はありませんから、ちゃんと働いている限り、引退しなくても誰にも迷惑はかかりません。

 ただ、 自分の蓄えと、年金で一生生活できることがわかれば、リタイアすることが理論上は可能ですが、なかなか難しいようです。

 何歳くらいまでが法律家の「賞味期限」なんでしょうか。
 裁判官は65歳定年、検察官は63歳定年です。
 もっとも「個体差」があるようで、定年間際になってもしっかりしておられ、定年退官するのはもったいないと思う方もおられれば、定年の何年も前から「もう限界」と思う方もおられます。
 もちろん、元気な方のうちには、退官後も、弁護士として活躍されておられる方もおられます。

 弁護士も、基本的には裁判官や検察官と同じく65歳程度までが「賞味期限」なのかも知れませんが、引退せずに、「耐用年数オーバー」のため「依頼者に迷惑をかけておられる」方も、おられないわけではないようです。

 「いくつで引退すべきか」という点については、若いうちは、50歳まで、55歳までとか言っているんですが、現実に、その年齢が近づいてくると、65歳まで、70歳までと、いつのまにか「延期」になる方が多いようです。
 自分が51歳になると、その気持ちが分かるようになってきました。
 「自分に限っては」「元気で働ける」と思っているんですね。
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