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司法 バックナンバー 3/3

非弁提携

大阪弁護士会所属の登録32年目の弁護士と登録19年目の弁護士が、貸金業者から多重債務者のあっせんを受け、弁護士報酬の一部を紹介料名目に業者に支払っていたとして、弁護士法違反(非弁護士との提携)などの容疑で逮捕されました。

 両名とも、大阪弁護士会内で、評判の悪い弁護士ではなく、ごくごく普通の評判の弁護士でした。

 弁護士法72条には「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」と定められ、弁護士法27条には「弁護士は、第72条ないし第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない」と定められています。

 整理屋などの業者と組んで、多重債務者の相談にのり、実際は活動せずに、整理屋に仕事をまかせ、高額の手数料や報酬を受け取ったり、弁護士資格のない者からの業務の斡旋を受けたりすると、弁護士法違反として、弁護士法77条によって、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることになります。

 これを「非弁提携」といい、懲戒手続きにはいると、まず間違いなく戒告ではすまず、よくて業務停止処分、最悪の場合は除名され、弁護士としての職務を続けることが難しくなる、あるいは、全くできなくなります。

 事実関係は、いずれ、刑事裁判や懲戒手続きで明らかにされるでしょう。
 
 今回の事件のような、いわゆる非弁提携は、東京の弁護士さんに多かったのですが(弁護士の絶対数が圧倒的に多いからということもあります)、いよいよ大阪にもおよんできました。
 非弁提携は、弁護士の経済的な困窮が原因です。例外は、あまりありません。

 真偽は定かではありませんが、紹介した貸金業者に紹介手数料を支払った上、紹介した貸金業者を、破産申請の際に債権者としてあげないため、当該貸金業者への債務だけは、借金が「チャラ」にならず、依頼者は、当該貸金業者だけ返済を続けなければならなかったという報道がなされています。
 本当であるとすると、ひどい話です。
 重い刑罰、重い懲戒処分を受けることになると思います。
 
 ただ、一般の人に、依頼しようとしている弁護士が経済的に苦しいかどうかはわかりませんね。
 同じ弁護士会の他の弁護士にもわからなかったのですから。

 今回の金融業者のような「整理屋」がからんでくるようなら、当該弁護士に依頼するのは危険です。
 また、弁護士が直接事情を聞いたり、方針について説明してくれるのではなく、弁護士の姿は見えず、事務員と称する人が担当するという事務所も危険です。

 これらの弁護士にひっかからないよう注意をしてください。

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