本文へ移動

司法 バックナンバー 3/3

司法修習生の給与

私は、以前のコラムで以下のとおり書いています。

「 現在の司法修習生の給与は、基本給が月額20万2200円(平成19年4月1日現在)となっています。このほか、一般職の国家公務員と同様、扶養手当、大都市調整手当、住居手当、通勤手当、期末手当・勤勉手当(ボーナス)、寒冷地手当などが支給されるのは、当時も同じでした」

 しかし、「裁判所法の一部を改正する法律」により、平成22年11月以降採用された司法修習生については、給与がなくなり貸与制度となります。それ以前に採用された司法修習生は、卒業まで給与がもらえます。

 裁判所法67条の2(修習資金の貸与等)
「 最高裁判所は、司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、司法修習生に対し、その申請により、無利息で、修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金をいう)を貸与するものとする。
  修習資金の額及び返還の期限は、最高裁判所の定めるところによる。」

 「裁判官・検察官になる人はともかく、弁護士になる修習生にまで給与を支払うのはおかしい」という批判は昔からありましたし、「司法修習生が増えすぎて給与を支払ってられない」ということなんでしょうね。
 なお、修習生1人あたり1年間で1000万円かかっている計算になるそうです。
 司法修習生の給料は、さほどでもありませんが、司法研修所の運営費(裁判官である所長、事務局長、民事裁判教官、刑事裁判教官、研修所付判事補、検察官である検察教官の各報酬・給与と、高額給与取得者がずらっと並び、司法研修所職員の給与、わずかですが弁護教官に対する報酬。あと、維持費などがかかります。司法研修所は、裁判官の研修もしますので、その分を控除して計算します)を考慮すると約1000万円となります。
 
 ただ、司法修習生の給与分が貸与制になるだけで、司法研修所の運営費を、授業料などの形で司法修習生に支払えということではないようです。


これからは、法科大学院に高い授業料授業料(たとえば、東京大学法科大学院でも2年合計160万8000+検定料3万円)を支払い、また、司法修習生時代の貸与された給与分のお金を返済しなければならないとなると(現在の給与と同レベルとして年間350万円。1年間)、親が格段に裕福でない限り、弁護士になる時点で、相当額の借金を背負って弁護士生活のスタートをきらざるを得なくなるようです。

 また、大阪弁護士会に入会するとすると登録時約50万円(正確な金額ではありません。ご了解下さい)、毎月の会費が5万円近くかるわけですから(これも正確な金額ではありません)、大変なことになります。

 その上、弁護士になっても就職先がないという人は、どうやって生活していくのでしょうか。

 私の大学生、司法修習生当時から、弁護士になるには「親の財力」勝負ということがいわれていました。
 私が合格した昭和52年度の司法試験合格者の平均年齢が28.9歳で、修習生は480人程度、一部高年齢層が平均年齢を引き上げているということはあったとしても、やはり大学卒業後、5、6年程度司法試験の受験を続けていたという方が平均的だったという印象があります。
 やはり、親が裕福でないと、司法試験合格は難しかったと思います。

 確かに、2000人以上が司法試験に合格するご時世ですから、司法試験のハードルは、格段に低くなっているはずです。
 もっとも、新司法試験制度の合格者は、最速でも法学部4年、プラス法科大学院2年間、司法修習生1年の貸与制となると、収入を得るのは最低でも25歳となります。
 アルバイトなどをしていては(修習期間中はアルバイトはできません)、合格が遅くなり余計に負担がかかるだけですから、弁護士になるには「親の財力」勝負ということに変わりはないようです。
TOPへ戻る