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司法 バックナンバー 3/3

高等試験令

今は廃止されていますが、昔あった 「高等試験令」 をご存じでしょうか。

「第10条
 1項 本試験ヲ分チテ行政科及司法科ノ2科トス
 2項 受験者ハ2科ノ試験ヲ併セ受クルコトヲ得」
とされていますから、行政職国家公務員試験と司法試験を兼ねていたことがうかがえます。

「 第15条
 1項 司法科試験ノ筆記試験ハ左ノ7科目ニ付之ヲ行フ
1.憲法
2.民法
3.刑法
4.左ノ科目ノ中受験者ノ予メ選択スル2科目
 商法
 民事訴訟法
 刑事訴訟法
5.左ノ科目ノ中受験者ノ予メ選択スル2科目
 商法
 民事訴訟法
 刑事訴訟法
 (前号ニ於テ受験者ノ選択セザリシモノ)
 破産法
 行政法
 国際公法
 国際私法
 経済学
 政治学
 財政学
 社会学
 経済政策
 社会政策
 刑事政策
 哲学
 倫理学
 心理学
 宗教学及宗教史
 教育学
 国文及漢文
 2項 司法科試験ノ口述試験ハ民法及刑法並ニ商法、民事訴訟法及刑事訴訟法ノ中受験者ガ筆記試験ニ於テ受験シタル科目ノ中ヨリ予メ選択スル1科目ニ付之ヲ行フ」

 昭和52年の司法試験は「憲法」「民法」「刑法」「商法」と「民事訴訟法」か「刑事訴訟法」、どのような科目があったのか記憶がありませんが、私が選択した「行政法」と「財政学」は当時もありました。7科目というのも同じです。

 高文試験は戦後廃止されていますが、伝統は残っていたのですね。

 「行政科」にも「行政法」と「財政学」がはいっていますから、司法試験の他、国家公務員上級職試験も受験する受験生は「行政法」と「財政学」が入っていますから、これらを選択するのが合理的ですね。

 当時、私の卒業した大学では、大学3年生を終わった時点で、「民事訴訟法」全部の範囲を履修することは不可能だったのに対し、「刑事訴訟法」は、大学3年生を終わった時点で「履修が完了」しますから、大学4年生で受験する受験生は、通常「刑事訴訟法」を選択していました。

 ということで、「刑事訴訟法」「行政法」「財政学」をワンセットで選択する受験生が結構あり、論文試験の時は数が多すぎてわからなかったのですが、口述試験になると、お互い顔見知りとなり「また、あんた達と一緒か」と言い合ったものです。

 司法研修所に入所した後で、「刑事訴訟法」はともかく、「行政法」「財政学」の選択は「ライバルが手強(てごわ)いから損ですよ」という話を聞かされました。
 「無知」というか「怖いもの知らず」は、怖いですね。

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