本文へ移動

司法 バックナンバー 3/3

行政書士は法律家ではありません

私も、ホームページをつくるようになってから知ったのですが、Googleなど検索エンジンで法律問題を検索すると、「破産などの債務整理」「交通事故」「離婚相続」「相続相談」などで、本来なら弁護士のホームページがでるべきところ、司法書士、行政書士のホームページが上位に来ることがあります。

 まず、弁護士は、従前「一見さんお断り」という「殿様商売」をしていたので、ホームページでの「集客」は考えていないということがあります。
 また、弁護士が、露骨な「コマーシャルのホームページ」をつくりにくいのは間違いありません。同業者に見られることがあるわけですから。

 司法書士が「破産などの債務整理」について、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページを持つのは、ある意味妥当です。
 自分の実体験に基づいていますから。
 ただ、司法書士が「交通事故」「離婚相続」「相続相談」について、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページを持つのは、おかしいです。
 実体験に基づいていれば弁護士法違反を認めることになりますし(140万円以下の交通事故など、基本的にペイしません)、実体験に基づいていないなら、諸文献の「引用」です。
 諸文献を「引用」することは難しくありません。弁護士や学者の書いた著作や、弁護士のホームページのコピペをすればいいのですから。圧倒的に、著作物の「引用」と思われます。
 あたかも、実体験に基づく、あるいは、自分が当該分野で詳しいと思わせようとしているだけです。

 なお、行政書士が「破産などの債務整理」「交通事故」「離婚相続」「相続相談」について、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページを持つというのは「弁護士法違反してますよ」というようなものです。
 行政書士は行政官庁への書類の代書ができるだけで、司法官庁への代書は許されていません。
 実体験はありません。裁判所は、弁護士と司法書士からたたかれますから、行政書士の関与に神経質になっています。
 もちろん、法律や実務の解説をしたり、Q&Aのページは「引用」でしょう。
 間違っても詳しいと思ってはいけません。

 なお、裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)15条には、裁判員の職務に就くことができない人が列挙されています。
 法律の素人を刑事裁判に参加させる手続きですから、裁判官、検察官、弁護士は当然なれないという規定があります。
 司法書士も、法務大臣が実施する簡裁訴訟代理能力認定考査で認定を受けた司法書士(認定司法書士)には民事訴訟の代理権がありますから、やはり「法律の素人」ではありません
 ここで、はっきりするのが行政書士です。
 行政書士は、裁判員法に「不適格者」として排除の対象となっていませんから、法律の素人として裁判員になれるのです。
 つまり、行政書士は、はっきりと「法律の素人」と法律(裁判員法)に記載されていることになります。

 「街の法律家」は「過大広告」で弁護士会がいくら 指導をしても改めようとする気さえないようです。
 なお、日弁連会長から日本行政書士会連合会への申入は平成19年12月22日付、要旨は以下のとおりです。
 (1) 日本行政書士会連合会の英文表示「Japan Federation of Gyoseishosi Lawyer's Associations」について、今後「Lawyer」を含む英文表示の使用を差し控えられたい。
 (2) 日本行政書士会連合会の、行政書士を表す「頼れる街の法律家」について、今後「法律家」を含む表現の使用を差し控えられたい。
 (3) 行政書士が取り扱う業務について「相手方と交渉を行う代理権」「裁判所に提出する文書の作成の代理権」が存在すると読者に誤解を与える構成、表現を用いないようにされたい。
 (4) 日本行政書士会連合会所属の行政書士に対し、行政書士の業務範囲について適切な指導をしていただきたい。

 名乗るだけでは弁護士法違反(非弁)になりませんが、現実に、弁護士業務をした札幌市の行政書士が、弁護士法違反(非弁護士活動)容疑で逮捕されましたね。

 一般の人にはの区別が素人にはつきにくいのでしょう。
 「弁護士」「司法書士」には、また「司法書士」「行政書士」には、こえがたい段差があります。
 「行政書士」は、最低レベルの「法律家」ですらありません。
 「司法書士」と「行政書士」との区別ははっきり認識しておきましょう。


 平成21年5月21日に裁判員制度が開始されます。

 あいかわらず「教えてやる」 という姿勢で裁判員制度を解説する行政書士のホームページは多いですが、裁判員制度が開始されれば、行政書士自体が「素人席」にすわることになり、他の裁判員から「行政書士は法律家ではなかった」「我々と同じ素人だ」ということが露見します。

できれば、マスコミも、はっきり伝えてほしいところです。
 行政書士の法的無知のために、事件そのものをおかしくされてしまった人は結構います。

(平成21年4月2日補筆)

TOPへ戻る