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司法 バックナンバー 3/3

裁判所備付けのゴム印

裁判所には、昔から、備付けのゴム印がありました。

 ワープロが発達していない当時は「裁判官名」「書記官名」のゴム印が便利でした。
 縦・横(地方裁判所と家庭裁判所。兼務の場合)、大・小で合計4ヶくらいありました。

 昔は、転勤の際に、裁判官名のゴム印を、新しい赴任地に持っていったものです。元の勤務地では無用の長物で、新任地では間に合わないし、もったいないという理由です。

 ということですが、今は、調書にゴム印を押さないですね。
 すべてワープロになっています。

 ただ、ゴム印は結構使われています。
 裁判官名、書記官名ではなく、当事者の氏名です。

 一時期、サラ金・クレジット会社に勢いがあったころ、簡易裁判所(最初の契約書に、訴額にかかわらず、簡易裁判所を合意管轄裁判所とする条項があり、職員が代理人として出頭できます)には、サラ金・クレジット会社のゴム印が受付でよく押されていました。「前株」か「後株」かまぎらわしいですしね。裁判記録表紙に押します。
 簡易裁判所は「クレサラの取立機関」と呼ばれだ時期がありました。今も、簡易裁判所が「クレサラの取立機関」という点であることについては、あまりかわっていないようです。

  ということでしたが、今は、地方裁判所の受付にもサラ金・クレジット会社のゴム印があります。
 「原告」としてのそれではなく、過払金請求の「被告」として、裁判記録の表紙に押すゴム印です。
 時代は変わりました。

 また、簡易裁判所のゴム印は、「原告」欄(貸金返還請求訴訟)に押すだけでなく、「被告」欄(不当利得返還請求訴訟)にも押されるようになりました。


 ちなみに、裁判所受付へ行くと、見知らぬ人のゴム印があることがあります。
 いわゆる「訴訟マニア」と言われる人たち用の本人訴訟の裁判記録表紙に押すゴム印です。
ある訴訟を起こす、棄却・却下される、控訴して控訴棄却される、上告して上告棄却される、不当判決だと、裁判官個人を被告に損害賠償を訴訟をおこす、1審1名、2審の3名、上告審の5名の合計8名。 棄却されると棄却した裁判官を相手に損害賠償を起こす。
 そんな「ヒマ人」が、どこへ行ってもいるようです。

大したバイタリティーですね。お金もヒマももてあましているのでしょう。
 ゴム印をつくるのも当然ですね。


 ちなみに、行政官庁は、不適式として受理拒否をして持ち帰らせますが、裁判所は、印紙が貼られていれば受理拒否ができません。
 「相手をしてくれる人」がなくて「寂しい」人に多いようです。
 お気の毒に・・
 そのエネルギーを他の仕事に向ければいいと思うのは、私だけでしょうか。

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