本文へ移動

司法 バックナンバー 3/3

弁護士の健康保険

前回のコラムでも書きましたが、弁護士は、原則として、国民健康保険に加入しています。

 ただ、東京近辺に事務所のある弁護士は、東京都弁護士国民健康保険組合に加入できます。
 近畿圏で開業している弁護士は加入できませんし、近畿には弁護士国民健康保険組合がありません。仕方なく、市町村の国民健康保険に加入しています。
 市町村の国民健康保険は母体が好ましくないので、弁護士などは、相当損をしてしまいます。
ちなみに、弁護士法人(1人法人も可能です)をつくればいいのですが、健康保険だけのために法人化するとなると、デメリットが大きすぎます。

 私の場合を見てみます。
(国民健康保険・西宮市)
 なお、地方公共団体により異なります。西宮市は阪神淡路大震災で、国民健康保険は全国レベルで見ても最高に近いです。なお、弁護士さんでも、軒弁さんや即弁さんは所得が少ないですから、安いのかもしれません。ただ、通常の勤務弁護士(イソ弁)さんは、1年目から、最高額です。
 医療保険料           年額47万円
 介護保険料           年額12万円
 後期高齢者支援金保険料  年額9万円
 合計年額 68万円

 結構な額でしょう。

 ただ、弁護士は、弁護士法3条2項によって、税理士と弁理士になる資格をもっています。大は小をかねるということでしょう。

 ということで「めざとい」弁護士さんは、この制度を利用して税理士登録をします。
 そして、近畿税理士国民健康保険組合に加入します。

(近畿税理士国民健康保険組合)
 医療保険料           年額24万円
 介護保険料           年額2万4000円
 後期高齢者支援金保険料  年額2万4000円
 後期高齢者組合員保険料  年額1万2000円
 合計年額 30万円  「保険料」
なお、扶養家族0として計算しています。妻1人、子1人として17万円余の追加です。

 大きな違いですね。
 ただ、税理士登録をすると税理士会費年額11万円(弁護士に比べてなんと安い。弁護士は年額60万円近く)が追加で必要ですから合計41万円、でも、扶養家族がなしとすれば、68万円と比べ差額年間27万円がうきます。 ただ、健康保険は全額損金算入ですから、所得・地方税額の限界税率も考えると、年間14万円程度得になるくらいです。

 なぜ、弁護士は税理士登録をしないのでしょう。
 1 制度を知らない
 2 制度を知っているが面倒だから
 3 制度を知っているが、事件処理にあたり、税務上のトラブルに巻き込まれたとき高い注意義務を課される。税務調査の時「過少申告加算税」が「重加算税」にばける。
 4 税務相談の割当てが来る。

 最大の理由は1でしょう。
 3は、登録の有無には関係ないでしょう。責任追及されるときは責任追及されます。私は、税務は税理士さんに相談してくださいといいます。 「弁護士への税務相談」 をご参照下さい。
 また、自分の事務所の税務調査の時も、税務署員は、弁護士が税法に詳しいなどと最初から思っていません。
 4は懇意にしている税理士さんに代わってもらえばおわりです。

 実は、私は2です。
 単なる不精者ということになります。特に、西宮市を愛しているわけではありません。
 「いつか」「いつか」と思いながら現在にいたっています。
 医療機関の窓口で「税理士さんですか」と聞かれることが嫌なわけではありません。

TOPへ戻る