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司法 バックナンバー 3/3

弁護士の広告

 

「弁護士の業務広告に関する規程」 が日本弁護士連合会により定められています。

弁護士の業務広告に関する規程(平成12年3月24日会規44号) 改正平成13年10月31日同19年3月1日

(目的)
1条 この規程は、日本弁護士連合会会則(以下「会則」という。)29条の22項(弁護士法人規程19条による会則29条の22項の準用の場合を含む。)に基づき、弁護士(弁護士法人を含む。以下同じ。)の業務広告に関し必要な事項を定めることを目的とする。
(広告の定義)
2条 この規程における広告とは、弁護士が自己又は自己の業務を他人に知らせるために行う情報の伝達及び表示行為であって、顧客又は依頼者となるように誘引することを主たる目的とするものをいう。
(禁止される広告)
3条 弁護士は、次の広告をすることができない。
 1 事実に合致していない広告
 2 誤導又は誤認のおそれのある広告
 3 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
 4 特定の弁護士若しくは外国法事務弁護士又は法律事務所若しくは外国法事務弁護士事務所と比較した広告
 5 法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告
 6 弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告
(表示できない広告事項)
4条 弁護士は、次の事項を表示した広告をすることができない。
 1 訴訟の勝訴率 
 2 顧問先又は依頼者。ただし、顧問先又は依頼者の書面による同意がある場合を除く。
 3 受任中の事件。ただし、依頼者の書面による同意がある場合及び依頼者が特定されずかつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。
 4 過去に取扱い又は関与した事件。ただし、依頼者の書面による同意がある場合及び広く一般に知られている事件又は依頼者が特定されない場合で、かつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。
(訪問等による広告)
5条 弁護士は、面識のない者(現在及び過去の依頼者、友人、親族並びにこれらに準じる者以外の者をいう。以下同じ。)に対し、訪問又は電話による広告をしてはならない。(特定の事件の勧誘広告)
6条 弁護士は、特定の事件の当事者及び利害関係者で面識のない者に対して、郵便又はその他これらの者を名宛人として直接到達する方法で、当該事件の依頼を勧誘する広告をしてはならない。ただし、公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合についてはこの限りでない。
(有価物等供与の禁止)
7条 弁護士は、広告の対象者に対し、社会的儀礼の範囲を超えた有価物等の利益を供与して広告をしてはならない。
(第三者の抵触行為に対する協力禁止)
8条 弁護士は、第三者が弁護士の業務に関して行う情報の伝達又は表示行為でこの規程に抵触するものに対し、金銭その他の利益を供与し、又はこれに協力してはならない。
(広告をした弁護士の表示)
9条
 1 弁護士は、広告中にその氏名(弁護士法人にあってはその名称及び主たる法律事務所の名称又は従たる法律事務所があるときはその名称。以下同じ。)及び所属弁護士会(弁護士法人が複数の弁護士会に所属するときは、主たる法律事務所の所在する地域の所属弁護士会又は広告中に法律事務所の表示があるときはその所在する地域の所属弁護士会を表示することをもって足りる。)を表示しなければならない。
 2 弁護士が共同して広告をするときは、代表する者1名の氏名及びその所属弁護士会を表示することをもって足りる。
(広告であることの表示)
10条 弁護士が、郵便又はこれに準ずる方法により、面識のない者に対し直接配布する広告物については、封筒の外側又は広告物の表側若しくは最初の部分に、広告であることを表示しなければならない。
(保存義務)
11条 広告をした弁護士は、広告物又はその複製、写真等の当該広告物に代わる記録及び広告をした日時、場所、送付先等の広告方法に関する記録並びに4条2号ないし4号の同意を証する書面を当該広告が終了したときから3年間保存しなければならない。
(違反行為の排除等)
12条
 1 弁護士会は、所属弁護士に対し、必要があると認めるときは、前条の記録等の提出を求め、その他広告に関する調査を行うことができる。
 2 弁護士は、前項の調査に協力しなければならない。
 3 広告が3条1号に該当する疑いがあるときは、弁護士会は、広告をした所属弁護士に対して、広告内容が事実に合致していることを証明するよう求めることができる。
 4 前項の場合において広告をした弁護士が広告内容につき事実に合致していることを証明できなかったときは、弁護士会は、当該広告が3条1号に該当するものとみなすことができる。
 5 弁護士会は、この規程に違反した所属弁護士に対し、違反行為の中止、排除若しくはその他の必要な事項を命じ、又は再発防止のための必要な措置をとらなければならない。この場合、弁護士会は、当該弁護士に対し、弁明の機会を与えなければならない。
 6 弁護士会は、当該弁護士が前項の命令その他の措置に従わない場合又は当該行為の中止若しくは排除が困難な場合において、当該行為による被害発生防止のため特に必要があるときは、弁護士会が前項の命令その他の措置を行った事実及び理由の要旨を公表することができる。
 7 弁護士会は、他の弁護士会の所属弁護士についてこの規程違反の事由があると思料するときは、当該弁護士の所属弁護士会に対し、その旨を通知することができる。この場合、通知を受けた弁護士会は、通知をした弁護士会に対し、当該事案について行った調査及び措置の内容を報告しなければならない。
 8 日本弁護士連合会及び弁護士会は、違反行為の調査及びその排除等に関して相互に協力しなければならない。
(広告の運用指針)
13条
 1 会長は、この規程の解釈及び運用につき、理事会の承認を得て、指針を定めることができる。
附則1 この規程は、平成12年10月1日から施行する。
 2 弁護士の業務の広告に関する規程(昭和62年3月14日会規31号)は廃止する。

 

 改正以前の規程は以下のとおりでした。

弁護士の業務の広告に関する規程
昭和62年3月14日会規第31号

(目的)
 1条  本規程は、日本弁護士連合会会則第29条の2により、弁護士の業務の広告に関し必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
 2条  本規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  1 出身地 出生地又は義務教育終了までの間の相当期間居住した地をいう。 
  2 学位 学校教育法(昭和22年法律26号)若しくは旧大学令(大正7年勅令388号による大学が授与した学位又は外国の学位でこれに相当するものをいう。 
  3 看板 土地又はその定着物に固定若しくはこれに準ずる方法で設置又は記入された表示物をいう。 
  4 事務所案内 弁護士又は法律事務所が、その業務等に関する事項を記載して発行する刊行物等をいう。 
  5 事務所報 弁護士又は法律事務所が、その業務等に関する事項のほか、論説、記事等を記載して発行する刊行物等をいう。ただし、専ら三者を啓発するための論説、記事を記載したもので、その責任者として3条1号ないし4号及び5条1項1号の事項を記載したものを除く。 
  6 同窓会等の団体 自らが所属するもので親睦又は社会的活動を目的とする同窓会、県人会、同好会又はこれらに準ずる実体のある団体をいう。 
  7 名簿 氏名、職業、住所、事務所又は年齢を主な内容として編集した刊行物等をいう。 
  8 名鑑 前号の各事項のほか、出身地、出身校、経歴又は家族関係を主な内容として編集した刊行物等をいう。 
  9 肖像 個人の容貌を表象する写真又は絵画をいう。 
  10 経歴 学歴、職歴、公職歴並びに日本弁護士連合会(以下「連合会」という。)、弁護士会連合会及び弁護士会における役職歴をいう。 
  11 著作 刊行された自己の著述物及び演述の記録をいう。 
  12 外国語能力 自ら相当程度に外国語を読解し又は会話する能力をいう。 
(広告事項)
 3条  弁護士は、次の各号の事項に限り、広告することができる。 
    氏名及び住所 
    自宅の電話その他これに準ずるものの番号 
    事務所の名称、所在地及び電話その他これに準ずる ものの番号 
    所属弁護士会 
    弁護士登録の年月日 
    生年月日、性別及び出身地 
    学位 
    公認会計士、弁理士、税理士、不動産鑑定士若しくは海事補佐人の登録をしているとき、又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法にいう外国弁護士の資格を有するとき(登録を必要とするものについては登録しているとき)は、その表示 
取り扱う業務 
    事務所における執務時間 
    自己の所属する弁護士会の報酬に関する規定に定める法律相談料の額 
(広告媒体)
 4条  弁護士は、次の各号に定める媒体によってのみ広告することができる。 
   名刺、事務用せん及び封筒 
   看板 
   挨拶状 
   事務所案内及び事務所報 
   同窓会等の団体の会報及び名簿(以下「同窓会の会報等」という。) 
   日本電信電話株式会社等の発行する職業別電話帳 
   新聞、雑誌その他の定期刊行物 
(記事掲載)
 5条
  1 同窓会の会報等並びにそれ以外の名簿及び名鑑には、3条各号の事項のほか、次の各号の事項を記事として掲載させることができる。 
   肖像 
   経歴 
   家族関係及び趣味 
   著作 
   外国語能力 
  2 前項の場合は、名目の如何を問わず、対価を支払ってはならない。
(広告事項の特例一・挨拶状及び名簿等) 
 6条 挨拶状には、3条各号の事項のほか前条1項各号の事項を、同窓会の会報等には、3条各号の事項のほか、前条1項1号及び2号の事項を、それぞれ広告することができる。
(広告事項の特例2・事務所案内及び事務所報) 
7条
  1 事務所案内には、3条各号及び5条1項各号の事項のほか、事務所の沿革(ただし、顧問関係を除く。)、構成員の紹介、取り扱う業務の説明その他これに準ずる事項を記載することができる。
  2 事務所報には、前項に規定する事項のほか、事務所の近況、論説、記事その他これに準ずる事項を記載することができる。
(広告基準) 
 8条
  1 連合会は、3条9号ないし11号及び4条各号に関し、大きさ、回数、時期、配布方法等について必要な基準を、規則をもって定めることができる。 
  2 弁護士会は、前項の規則が許容する範囲内で別に基準を定めることができる。
(会員の届出) 
 9条  弁護士会は、4条2号、2号ないし7号の媒体を利用して広告する会員に対し、必要な事項を届け出させることができる。
(禁止事項) 
 10条
  1 弁護士は、品位を損うおそれのある手段方法によって広告してはならない。 
  2 広告の内容は、事実に合致し、誤導的でないことを要し、かつ、特定の業務に熟達し、あるいは、他の弁護士又は事務所に比して優越しているかのごとき表現をもつものであってはならない。 
  3 弁護士は、第三者が弁護士の業務に関して行う広告又は掲載する記事で本規程に抵触するものに対し、協力してはならない。
(違反行為の排除等) 
 11条  弁護士会は、本規程又はこれに基づく規則若しくは基準に違反した弁護士に対し、警告又は当該広告の排除を命ずるなど必要な措置をとらなければならない。
(規則への委任) 
 12条  連合会は、本規程の施行に関し、必要な事項を規則をもって定めることができる。
附  則 
この規定は、理事会の定める日(昭和62年4月1日)から施行する。 
この規定施行のときに、これに違反する広告のあるときは、施行の日から2年以内に適合するよう改めなければならない。 

 最初の特徴的な違いは、旧規程が、「氏名及び住所」「自宅の電話その他これに準ずるものの番号」「事務所の名称、所在地及び電話その他これに準ずるものの番号」「所属弁護士会」「弁護士登録の年月日」「生年月日」「性別及び出身地」「学位」「公認会計士、弁理士、税理士、不動産鑑定士若しくは海事補佐人の登録をしているとき、又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法にいう外国弁護士の資格を有するときは、その表示」「取り扱う業務」「事務所における執務時間」「自己の所属する弁護士会の報酬に関する規定に定める法律相談料の額」と広告事項を限定していることです。

 
  旧規程によりますと「出身大学」の記載は問題ありません。しかし「裁判官の経歴」「留学歴」も規程違反です。
 また、私のホームページの「報酬欄」は完全に規程違反です。
 「法律コラム」や「雑記帳」も規程違反です。

 ちなみに「自己の所属する弁護士会の報酬に関する規定に定める法律相談料の額」は、現在廃止されていますが、肝腎な「当該弁護士」の「報酬」の記載のない広告は、あまり意味がありません。
 おそらく、弁護士の広告は「実質禁止」という考えだったのでしょう。


 次の特徴的な違いは、旧規程が「媒体」に限定的な制限(名刺、事務用せん及び封筒、看板、挨拶状、事務所案内及び事務所報、同窓会等の団体の会報及び名簿、旧・日本電信電話株式会社等の発行する職業別電話帳、新聞、雑誌その他の定期刊行物)をしていたのに対し、新規定が「媒体」に制限を加えていないということです。

 インターネット、テレビ、ラジオ、駅広告など媒体は問いません。

 なお、ビラやティッシュは、3条6項の「弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」に該当するから不可と解されています。現時点では、誰もしていないので、公的判断ではありません。

 媒体ではないですが、競馬場などの公営ギャンブルの近辺での駅看板なども「弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」に該当するから不可と解されています。これは、実際、弁護士会の指導により、駅看板が撤廃された前例があります。
 「サンドイッチマン」「ちんどん屋」利用の広告はどうでしょう。誰もしないでしょうが・・・

 なお、一般の方が「事件の勝訴率」を表示しないのはなぜかと聞かれることがあるのですが、4条「弁護士は、次の事項を表示した広告をすることができない」1号「訴訟の勝訴率」に抵触しますからできません。なぜ、禁止なのかという点は、はっきりした合理的理由があるのですが(和解で解決したときどうか。数字が出ると敗訴の可能性のある事件の代理人となる弁護士が少なくなるなど)、ここでは詳述しません。

また、インターネットでも3年間の保管義務があります。あとで改変したというのが嫌なので、私は、紙に印刷して保管しています。

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