司法 バックナンバー 3/3
法科大学院を卒業しても弁護士になれない人
当たり前のことですが、法科大学院の乱立、定員過大のせいで、見込まれていた新司法試験の合格率が3割強と低迷し、大学院修了者の無職化が問題となっています。
つまり、法科大学院が乱立し、受験者が増え、高い合格率を信じて入学した学生がほうり出された形になります。
平成20年の新司法試験は6261人が受験。うち2065人が合格し、合格率は過去3回で最低の32.98%でした。
特に、悲惨なのは、5年のうちに、3回不合格だった人です。いわば「三振。バッターアウト」ですね。
受験制限があり、三振後、あと2年受験できません。
また、3年後に受験するには、新たに法科大学院の卒業などが必要です。
法科大学院を卒業し、新司法試験に合格できなかった人は「医学部を出ていながら医師免許を持っていない人を」ですから、普通、使い物になりません。
法律事務所事務職員になるか、司法書士を目指すか、その程度かもしれません。
間違っても、まともな企業は雇ってくれません。社会人経験の少なさ、年齢が理由です。企業も「ボランティア」でやっているのではありません。
十分な受け入れシステムもないのに法科大学院という「ハコ」だけたくさん作ってしまい、そのしわ寄せが受験生にきたということですね。
「8割が合格」というためには、法科大学院の定員を2600人程度にしなければ計算に合いません。
今、定員を減らすのでは遅すぎます。
「三振。バッターアウト」の人は、とりあえずグラウンドから去りました。しかし、まだ、ワンストライク、ツーストライクの人、あと、バッターボックスに入っていない現役の法科大学院生がいます。
結局は、法科大学院の乱立、定員過多を認めたことが「致命傷」だったということになります。
ちなみに、従来の司法試験にも同じ問題があり、何年も受験して合格できず、正社員としての勤務が難しくなった人たちがいました。
ただ、2%程度の合格率であることについては、最初からわかっていたことで、法科大学院を出れば、司法試験には「7、8割が合格」というキャッチフレーズにつられた人は気の毒ですね。
もちろん、これからは、弁護士になっても「楽」ではありません。
まず就職難。
次に、競争激化による収入減です。
弁護士は兼業は可能です。
いずれ、タクシードライバー兼弁護士、コンビニ店員(さすがに店長をする人はいないでしょうが)兼弁護士がでてくるかも知れません。
弁護士は、医師と違い、夜間当直勤務で1日数万円のアルバイトなどはありません。