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司法 バックナンバー 3/3

非正規労働者の解雇・雇い止め

 トヨタやキヤノンなどの、いわゆる「勝ち組企業」が、他の経営が現在苦しい企業とともに、雇用調整を進めています。

 「派遣社員」など、雇用期間に定めのない「正社員」とは異なりますから、雇い止めをしたところで、違法ではありません。

 日本では、正社員を解雇するのは、諸外国に比べ非常に難しいですから、「景気の調整弁」として、景気の悪いときは、解雇や雇い止めができる、アルバイト、契約社員、派遣社員を採用し、正社員の雇用を守るという手段をとることは、最初から想定されています。

 なお、現在のところ、黒字である、あるいは、大量の内部留保があるから、解雇や雇い止めをするべきではないというのは、あまり正しい判断とは思いません。

 もちろん、現在の不況が、一時的なものであることに間違いがなく、すぐに景気が回復して商品が売れる用になることが間違いないなら、不要な「軋轢」を生むことをする必要もありませんし、しないでしょう。

 今の不況が、短期間に回復するなどと思っている人はないでしょう。

 また、トヨタやキヤノンなど輸出産業は、ドルやユーロが、これからも大きく続落していく可能性があると考えているのでしょう。

 トヨタ自動車の場合、1円の対ドルの円高で年間の営業利益400億円、対ユーロの円高でも1円の円高で60億円目減りするということになります。
 1ドルが80円になれば7000億円の損失、1ユーロが110円になれば、600億円の損失です。

 欧州向け売上比率が34%のキヤノンは1ユーロ=165円、同じく26%のソニーは162円とされています。
 現在の水準は、キャノンで1ユーロ46円、ソニーで43円下回っています。
 トヨタと同様、円高ユーロ安になったため、キヤノンは営業利益が1568億円減益となっています。
 これ以上ユーロが安くならないという保障はどこにもありません。

 もちろん、世界的な大不況ですから、自動車やOA機器の売行自体が、国内外で落ち込んでいくことが予測されます。
 国家から、有形無形の補助金をもらっているような外国企業との競争もしなければなりません。

 現在、黒字であるとか、現在内部留保が潤沢であるということは、非正規社員の解雇、雇い止めをしてはならないという理由にはなりません。
 逆に、そのような行動に出るような「甘い」企業では、「勝ち組」になれないでしょうね。

 また、日本は、正社員の解雇を非常に厳しすぎるくらいの制限をしていますから、現在および将来の余剰人員を、非正規社員のリストラにより減少させるというのは間違った選択ではありません。

 もちろに、日本のトップ企業ですから、CSR(企業の社会的責任)を果たすということも大切ですが、自社の正社員の生活、取引先や株主の利益も尊重しなければなりません。
 儲けがあれば「首切り」はできないというのは正社員のみです。

 ただ、首を切られた方はたまったものじゃないでしょうね。年を越せるかどうかの瀬戸際です。
 「職」だけでなく「住」を失った人は特に・・
 ただ、失業した労働者の保護、さらに、内需拡大、個人消費の拡大などは、国がするべき責任を負っているのであり、国や地方公共団体ですみやかな施策がとられるべきでしょう。
 法人税、法人地方税は減少してダブルパンチですが、そのための国、地方公共団体ですから


 おそらく、円高、ドル安、ユーロ安、これからの全世界的不況の影響で、いずれトヨタやキヤノンさえも赤字が出るようになる事態になる可能性もあります。
 トヨタは半期ベースで考えると、既に赤字になっているとの報道もあります。

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