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司法 バックナンバー 3/3

造反に対処する方法

衆院は現在、議長と欠員の1議席を除いて478議席あり、与党である自民・公明両党は計334議席を占め、衆院での再可決に必要な「3分の2以上」のラインを超えています。野党は145議席ということになります。

 計算上は、与党(自民党・公明党)以外の議員が全員出席して反対し、与党からも16人以上の反対が出れば(造反すれば)、賛成318人以下となり、与党は3分の2で再可決できません。

 造反しそうな議員は、欠席させればいいという考えは無理でしょうか。

 憲法59条には、以下のとおり定められています。
「1 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」
 出席しなければ、ノーカウントです。

 478人出席者があると仮定するので、319票が必要になるのであり、例えば、造反の可能性のある議員16名を欠席させれば、出席者は462人、必要な3分の2は308人となります。

 与党議員334人のうち、顕在的・潜在的不満分子16名を排除すれば、出席与党議員数は308名、全員賛成すれば、ぎりぎりではありますが、3分の2の要件は満たします。

 顕在的・潜在的不満分子と考えられるのは、現時点で、総選挙において、与党の小選挙区の公認をもらえず、かつ、比例代表でも順位が低いなど落選の可能性の高い議員です。次の選挙に出ずに引退する議員も同じです。
 与党の小選挙区の公認候補となっている人は、賛成しなければ、総選挙での公認取消もあり、「刺客」が送られる可能性がありますし、また、比例代表上位予定の議員は、順位を下げられたらたまったものではありませんから賛成するでしょう。

 非現実と考えられるかも知れませんが、ドイツの連邦議会などで、造反が予想され、出席議員の過半数ではなく、総議員数の絶対過半数(absolute Mehrheit)を要する決議の場合、極端な話、連邦宰相(Bundeskanzler(in))ほか閣僚、政党幹部だけ出席(連邦宰相、閣僚不在では、採決の前提となる討論ができません)させ、残りの与党議員を党議拘束で欠席させるということがあります。

 なまじ出席されて、反対票を投じられてはかないません。野党票だけでは、総議員数の過半数に満たないのですから、最初から欠席させればよいのです。
 賛成票よりも反対票が圧倒的な多数となりますが、議決はされません。
 多数派は、1票でも多ければ多数派、その差は結果に影響しないというのが民主主義の基本です。

日本では、そんなことをやりませんね。
 ですから「造反」により否決ということが起きるのです。
 もっとも、「造反」を考えている議員が、党議拘束に従って、おとなしく欠席するかどうかは疑問ですが・・

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