本文へ移動

司法 バックナンバー 3/3

記録の引越し

今、私の事務所に来られる方は、結構ちらかっていることをご容赦下さい。

 当事務所では、事件記録を事務所内で保管していましたが、棚がいっぱいになってきて、ただでさえさえ狭い部屋が、余計に狭くなってきましたので、同じビルの地下に4坪余の倉庫を借りて、終了記録を移転中です。
 2年前からキャンセル待ちしていて、やっと手頃なサイズの倉庫が空いたので借りることにしました。

 まず、現在進行形の事件については、着手後何年たっていようが、記録は現在進行中のロッカーに保管しています。
 預かっている原本類は、事件終了時に依頼者にお返しし、念のため、記録の裏表紙に「必要な原本はすべて受領いたしました」と書いてもらい、日付とサインをいただきます。その時点で、既済のロッカーに移転されます。

 原本についても、民法171条に「弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から3年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる」とされているくらいですから、原本を事件終了とともに返却し、その都度、訴状、答弁書、準備書面、書証などを交付している限り、少なくとも対依頼者との関係では、記録の保管義務はありません。

 なお、判決原本は50年(民事)、和解・調停調書は30年、他の事件記録は5年間、裁判所において保管されていますから、裁判や調停になっている事件は、要求に応じてコピーをとって渡すこともできます。
 示談交渉ですんだ事件は、裁判所では保管してくれていませんので、3年間くらいは保管した方がよいでしょうね。

 ただ、弁護士さんの性格にもよるでしょうが、依頼者だった人から、紛失したからコピーをくれないかという要望があったり、破産事件については、忘れたころになって債権者から破産開始決定や免責決定をファクシミリしてほしいとの要望がありますから、依頼者・債権者の方の便宜のために、ある程度の期間は保管しています。

 また、弁護士自身のためにも、あのときの事件はどうだったかという調べものをする必要がありますから、ある程度の期間は保管しています。

 私の事務所の保管期間は、公表していません。
 もちろん、他の法律事務所同様、かなり古い記録まで保管しています。

 勝訴、敗訴、一部勝訴、和解、調停など円満に事件が終了している、ほぼ全員の依頼者の方には、保管されていれば、有償ですが、コピーをお渡ししています。
 約定の成功報酬を支払ってもいない人(債務の任意整理の減額・長期分割報酬の分割金が、ほぼ全てです)が、コピーを求めてくることもありますが、原本は返していますし、コピーも既に交付済みなので、未払報酬全額を支払ってもらえない場合はお断りしています。

 という事情で、倉庫を借りることになったのですが、引越しと同じで、記録を見ていると「昔はこんな事件やっていたんやなぁ」と懐かしくなることがあります。
 引っ越しをしていると、感慨に耽って、予定時間を軽くオーバーするのと同じ理屈です。
もっとも、作業は事務員に任せていますから(事件終了日は、記録の表紙にマジックインクで大きく書いてあります)、ひろがっている事件記録をながめたり、事務員から、どのように整理したらいいのか質問されたときくらいですが・・

TOPへ戻る