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医療のバックナンバー

無味無臭な毒物

毒物について、よく「無味無臭」といわれることがあります。
 青酸カリしかり、ヒ素しかり、タリウムしかり、そういえばサリンもそうです。

 確かに、強烈なにおいがしたり、妙な味がしたのでは、毒殺には向きません。
 せいぜい、矢に塗って、毒矢として使用するくらいということになります。

 「無臭」というのはわかります。
 においをかいただけでは死にませんから、ある毒物は、臭いがあるのか、無臭なのかは人間の嗅覚で客観的にわかります。

 「無味」というのがわかりません。

 ヒ素やタリウムなどでは、少しくらい嚥んだからといって死ぬわけではありません。
 ですから、ヒ素やタリウムを嚥んだが致死量に達せず死ななかった人が、ヒ素やタリウムなら「無味」であったという話をして、ヒ素やタリウムが「無味」なのだなということはよくわかります。
 また、青酸カリの致死量は0.2グラムですから、致死量以下しか嚥まず生き残った人から「無味」であったと聞けば、やはり、青酸カリが「無味」なのだなということはよくわかります。

 しかし、サリンなどは0.5ミリグラム(青酸カリの400分の1。米粒の30分の1)といわれていますから、致死量以下のサリンを「嚥む」ということは可能なのかという疑問がわきます。
「嚥んで」みなければ、味などわかるものでしょうか。
 致死量以下になるように希釈して嚥ませて、死ななかった人から、味がしたかどうか聞いたのでしょうか。
それだけ希釈していれば、本来「味」がするものも、「無味」だったと誤って報告するということはないのでしょうか。

 考えると夜も眠れない?

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