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医療のバックナンバー

癌の進行度

男性シンガーソングライターが、初期の食道癌に罹患したため休養するという報道がなされました。

 癌にも、さまざまなものがありますが、食道癌は、消化器の癌の一種です。

 消化器は、順に、口、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸〈盲腸、結腸「上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸〉、直腸)、肛門の順に並んでいます。

 癌の進行度は「ステージ0」から「ステージIV」まで分類されます。
 その昔は、部位によっては「ステージV」というのもありました。
 ステージは、壁深達度、リンパ節転移や播種転移などにより判定されます。リンパ節転移や播種転移があるなら進行癌ですね。

 「壁深達度」というのは、どこまで「深く」癌がおよんでいるかということです。
 癌は、最初は粘膜に発生し、次に筋層、さらに漿膜(ない部位もあります)、漿膜外や他臓器へと進行していきます。

 「深く」ということですが、「ぴん」と来ない人がいるかも知れません。
 消化器官は、体の一番奥で、消化器官から離れるということは、身体の表面に「近づく」ことだから、「深く」ではなく「浅く」のはずだという理屈です。

 人間をドーナツに例えるとよくわかります。
 人間の消化器は、口から食道、胃、腸を通じて肛門まで、連続的な穴が空いていますから、トポロジー(位相幾何学)的にはドーナツという理屈です。
 食道、胃、腸の表面の粘膜層は、「外部」に接している部分ということになります。ドーナツの穴の部分ですね。
 ドーナツの穴の表面から、ドーナツの中身に癌がおよんでいくほど深刻になります。
 そう考えるとよくわかりますね。

 ちなみに、食道癌は、早期の時点での発見は難しいといわれています。
 通常、胃や大腸のように内視鏡検査はしません。
 症状が出ても、他の病気と同じ症状で、癌とわかったときには手遅れだったということがよくあります。
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