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阪神地区を例にとると、大阪市・尼崎市などは、もともと平地に住宅地が並んでいます。これに対して、西宮市・宝塚市・芦屋市・神戸市などは、海側・川側から山側にかけて、かなり高低差があるところに住宅地が並んでいます。

　平地に住宅が並んでいる場所は、岩盤等の硬質な地盤「そのまま」に、家が建っていますから、「堅くて丈夫」です。

　これに対し、丘陵地においては、もともと斜面である土地に、水平な家を建てるわけですから、かつて山だったところを削って（切土）平坦な土地を造ってい平らにするか、土で谷を埋めて（盛土）平坦な土地を造ってい平らにしています。
　山を削った部分は「切土地盤」、谷を埋めた部分は「盛土地盤」「谷埋地盤」と呼ばれています。

　大阪市・尼崎市などは、もともと平地に家が建っているところの建売住宅を購入したり、土地を購入して注文住宅を建てるとするなら、あまり、元の地形がどのような地形であったかにについて、あまり気にすることはありません。

　しかし、西宮市・宝塚市・芦屋市・神戸市など、もともと丘陵地に家が建っているところの建売住宅を購入したり、土地を購入して注文住宅を建てるとするなら、元の地形がどのような地形であったかにについて、重大な関心を払うべきです。

　山を削った部分、つまり「切土地盤」は、自然にできた岩盤等の硬質な地盤から構成されているため、「かたくて丈夫」です。
　これに対し、「盛土地盤」「谷埋地盤」は、しょせんは土を人工的に埋めているのですから、機械でどんなに固めても、自然の地盤には及ぶべくもありません。
　このため、地震の際に、「切土地盤」に建っている家は、地震の被害が比較的軽微なのに対し、「盛土地盤」「谷埋地盤」に建っている家は、地震の被害が甚大となる傾向があります。「切土地盤」と「盛土地盤」「谷埋地盤」の境界というか、双方の上に建っている家もあるのです。

　大規模な宅地造成がされていなくても、家の並び具合、道の傾斜などによって素人でも、また、専門家に依頼すれば、どこが「切土地盤」で、どこが「盛土地盤」「谷埋地盤」かは容易にわかります。
　現在では「宅地造成等規制法」により、丘陵地の住宅団地において、地震や豪雨の影響で危害を及ぼすおそれのある盛土地盤についての情報を公開することになっています。
　丘陵地の住宅団地において、どこが「切土地盤」で、どこが「盛土地盤」「谷埋地盤」かわかります。また、わずかですが、「切盛境界」とよばれる「切土地盤」と「盛土地盤」「谷埋地盤」の境界上にある土地もあります。

　「切土地盤」は「ようかん」「木綿豆腐」にたとえられ、「盛土地盤」「谷埋地盤」は「プリン」「杏仁豆腐」にたとえられます。
　スイーツとして人気のあるのが、「プリン」「杏仁豆腐」であっても、「ようかん」「木綿豆腐」（スイーツではありませんが・・）を選ぶのが正解です。

　「切土地盤」と「盛土地盤」「谷埋地盤」に建つ家の揺れ方の違いを、「ようかん」と「プリン」あるいは、「木綿豆腐」と「杏仁豆腐」を実際に組合わせ、その上に模型の家をおいて、揺らしてみればいいのです。

　まず、「切土地盤」（ようかん・木綿豆腐の上）は、ほとんど揺れません。
　これに対し、「切盛境界」（ようかん・木綿豆腐とプリン・杏仁豆腐の境目）は、ガタガタ揺れて、模型の家が傾いたり、基礎や地盤が壊れやすい傾向にあります。
　また、「盛土地盤」（プリン・杏仁豆腐の上）は、激しく長時間揺れ、模型の家そのものが大きく揺れ、中のものが倒れやすいことがわかります。

　地震国日本では、「切土地盤」を購入した方が得なのか、「盛土地盤」「谷埋地盤」を購入した方が得なのか、おわかりですね。
　土地には、全く同じものはありません。
　広さ、地形、接道などの諸要素を考慮して購入するのも大切ですが、丘陵地の場合は、当該土地が、「切土地盤」か「盛土地盤」「谷埋地盤」かを吟味することが大切です。

　なお、大阪市の西側や、神戸市の南側などは、結構、海を埋立てて造成された土地があります。これは、基本的に「盛土地盤」「谷埋地盤」に属すると考えて購入してください。