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トリビア バックナンバー 2/2

ジェネリック薬品

 「ジェネリック薬品」をご存じでしょうか。

 ジェネリック薬品とは、先発医薬品と成分や規格が同じとして承認された医薬品(後発医薬品)のことで、「ゾロ薬」とも言われます。

 先発医薬品はその効果や安全性を臨床試験で証明し「新薬」として承認・販売されるまで多くの時間とコストが必要となるため、開発した製薬会社が製造する場合は、膨大な開発費用が上乗せされ、それ以外の製造会社が製造する場合には、膨大な特許費用やライセンス費用が価格に上乗せされ、おのずと値段が上がってしまいます。

先発医薬品の特許期間が切れた場合どうなるのでしょうか。
 先発品の特許等が切れた後に発売されるジェネリック薬品には開発コストがほぼかかりません。
 そのため、先発品に比べて大幅に値段を下げることができるといわれています。

 先発品とジェネリック薬品を上手く使い分けることで、患者の医療負担を軽減し、国の医療費自体も抑制することができるのではと期待されているとされています。

 ただ、ジェネリック医薬品の品目数は、欧米では既に40~50%のシェアを占めているのに対し、日本ではわずか10%のシェアにとどまっています。
 政府は、医療費を抑制するためため、薬剤師に「ジェネリックが安いですが、純正のお薬にしますか」ということまで言わせているなど躍起になっているそうですが、患者がジェネリック薬品に変えようとはあまりしません。


 まず、ジェネリック薬品は「薬の名前が違うだけで、中身は同じ」といわれていますが、本当に一緒という保障がありません。
 また、ジェネリック薬品の成分が同じといっても、カプセル、錠剤、粉末の製造方法でも、薬品の効き方に差がある場合もあり、純正薬品の方が、長い経験とノウハウを持っていますので間違いがありません。
 医師も、ジェネリックを信頼してない可能性もあります。また、ジェネリック薬品の「せい」でなくても、「ジェネリック薬品のためおかしくなった」というクレーマーがないとはいえません。

 さらに、ジェネリックの場合、原材料であるバルクの生産は発展途上国で行われることが多く、その製造過程に製品の質の担保がないともいわれています。また、ジェネリック薬品の場合、薬価改訂後市場から無くなる率が高い、すなわち「売りっぱなし」ということがあります。

 ただ、一番大きな理由は、医師、薬剤師にとっても、高い純正の薬品の方が、安いジェネリックより利幅が多いことにあるのは当然です。


 本来は、開発した製薬会社は、既に長期間製造してきているのですから、機械設備も充実しているでしょうし、製造・梱包などのノウハウも蓄積されているはずです。
 理論上は、これから製造を始めようとする製造会社は、機械設備に投資して、製造や梱包など、さまざまな試行錯誤を繰り返していくわけですから、開発した製薬会社の方が、むしろ安く製造することができるはずです。
 通常は、とっくの昔に、開発費用は回収済みのはずですし、一部回収済みでなくても、全く同じ条件での販売ということがなければ、値下げをするのが当たり前です。追加費用(marginal cost)は小さくてすみます。


 開発した製薬会社は、値下げはしませんね。
 日本人のブランド好き、純正品神話がある限り、値段を安くする必要は全くないからです。
 逆に、政府が、後発薬品メーカーに補助金でも交付しないと、ジェネリック薬品は普及しないでしょう。しかし、そんなことは不可能です。

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