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外国事情 バックナンバー1/2

海苔

私がドイツに留学していたとき(昭和57年から昭和59年)の話です。

 語学学校のある町に住んでいる単身(ドイツ人の夫と離婚)の女性が、語学学校の生徒をまねいて、日本食をふるまってくれたことがあります。

 日本人だけなら問題がないのですが、同じクラスの外国人を招いてもよいという話でしたので、日本人以外の生徒も集まりました。

 たいていの日本食は、外国人も食べます。
 ドイツで鯨肉が手にはいるわけでもありませんから。

 唯一の例外がありました。
 「海苔」です。
 韓国の生徒は問題ないのですが、欧州の生徒は一向に食べようとしません。
 理由を聞くと、「Schwarzpapier」(black paper)は食べられないということでした。
 勇気を出して食べたユーゴスラビア人(当時)は、無理に食道に流し込んでいました。

 話はかわって、ユングフラウ観光の拠点にクライネシャイデック(Kleine Scheidegg)という駅があります。
 インターラーケンから、グリンデルヴァルトあるいはラウターブルネン経由の登山電車の終着駅です。
 そこから、電車を乗り換えてユングフラウヨッホ駅をめざします。
 クライネシャイデックから、アイガー北壁、ユングフラウ、メンヒなどが望めますから、クライネシャイデック絶景ポイントで、そこで引返す観光客もいないわけではありません。
 クライネシャイデックの売店に、日本人観光客を当て込んで「おにぎり」が売られていたことがありました。海苔で巻いてありました。
 翌年、やはり、クライネシャイデックに行ってみると、海苔なしのおにぎりになっていました。
 欧米人は海苔は食べないので、海苔なしにしたと思います。
 やはり、日本人以外にも売らないとペイしないのかも知れません。

 ただ、日本食がブームになってきて寿司の認知度が上がり、さらに「Sushi」が、スーパーに並んでいる時代ですから、欧米人も、平気で食べるようになったのですね。
 隔世の感があります。
 まさに「食わず嫌い」というところだったのでしょう。

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