外国事情 バックナンバー1/2
ボンに架かる橋
今は首都がベルリンに移転していますが、東西ドイツに別れ、東ドイツから攻撃されたときに備えて首都が定められたといわれます。
また「臨時」「首都」ですから、フランクフルト、ハンブルク、ケルンなどの大きい都市は対象外でした。大きい都市を「臨時首都」としてしまいますと、東西統一のとき、首都をベルリンに移転できなくなります。
あと、ライン川より西、フランス寄りという立地も大きかったとされています。
仮想敵国は、東ドイツですから、東寄りの都市に首都を定めると、すぐに戦車で制圧されるおそれがあるからです。
また、ライン川は川幅が広くて深く、橋がなければ戦車は通れません。
ボンは、厳密にいえば、ライン川の西側の旧市街、ボン=バート・ゴーデスベルク地区とライン川東のボン=ボイエル地区があるのですが、連邦大統領府、連邦宰相府、連邦議会、連邦参議院、行政主要官庁は、すべてライン川西のボンの旧市街と、南側のボン=バート・ゴーデスベルク地区にありました。
ちなみに、主要行政官庁で西ベルリンにあったのは連邦カルテル庁(公正取引委員会)だけで、連邦カルテル庁(公正取引委員会)など「戦時」には「不要」とはっきり割切られていた感じがします。
日本は島国ですから、あまり戦車の「怖さ」はわかりません。
歩兵部隊だけでは、攻撃をしようにもできません。
飛行機やミサイルで爆撃するだけでは敵地は占領できません。
現在においても、戦車は主要な武器です。
とりわけ、戦車は、陸戦においては必須ですし、敵地占領には必要不可欠です。
イラク戦争やグルジア紛争をみれはわかりますね。
ライン川には、上流から、マインツ、コブレンツ、ボン、ケルン、デュッセルドルフの順に鉄橋がかかっています。
東ドイツから攻撃された場合、いずれフランス方面から陸続きで援軍がきます。
当座、首都制圧を防ごうと思えば、ボンにかかっている鉄橋をまず破壊し、マインツ、コブレンツ、ケルン、デュッセルドルフの各鉄橋を破壊すれば、戦車はきません。
日本人仲間でささやかれていたことがあります。
ボン旧市街とボン=ボイエルを結ぶ鉄橋を、平気な顔をして自動車や電車や都電(市街電車)や徒歩で渡っているけれども、ボンの鉄橋の中に爆薬が仕掛けられているのではないか、爆薬が何かの間違いで誤爆することはないか。
しかし、誤爆は幸いありませんでした。