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外国事情 バックナンバー1/2

戦術と戦略

 「戦略」(Strategy)と「戦術」(Tactics)という言葉があります。

 一般に、多方面の局地的な状況、未来への見通しも考慮して、将来的に勝利するための方策が「戦略」、局地的な、現在の状況に対処して、勝利するための方策が「戦術」といわれています。

 戦略は、戦争の勝利や営業目標達成など長期的に立てられる最終目標や作戦で基本的には変更されることはありませんが、短期的な目標や作戦で状況に応じて変更し、最終的に目標を達成することにあります。

 一番有名な例は、同じ核兵器であっても、「戦略的核兵器」と「戦術的核兵器」とに区分されています。「戦略的核兵器」は、敵国による攻撃・反撃・抵抗・新たな戦略を抑制するために保持する「大陸間弾道ミサイル」は戦略的核兵器と呼ばれますし、現地での局地戦に勝利するための「対空核ミサイル」、潜水艦を確実に沈めるための「核魚雷」、敵部隊を一撃で殲滅するための「核砲弾」などは戦術的核兵器と呼ばれます。

 ただ、戦争でも、相手国を、住民全員全員を殲滅し、人1人住んでいない荒れ地にしてしまうより、相手に降伏させて友好国・従属国にしてしまう方が賢明です。
 できれば、戦争をしなくても、相手に降伏させて友好国・従属国にしてしまうのが最良の作戦であることはいうまでもありません。


 訴訟でも、当然の事ながら「戦略」と「戦術」があります。

 訴訟を起こし、起こされた訴訟に勝つということは大切です。
 しかし、訴訟が起きないようにする(ちゃんと契約書を作成しておく。借用証、領収証はちゃんと保存しておく)などは、紛争回避のために重要です。

 もっとも、大半の事件は「勝訴するため」の戦略ですが、「勝訴すること」が、一番いい解決方法であるとは限りません。

 もちろん、一回きりの取引や交通事故では、とれるべきものをとれば最良です。
 もっとも、判決では払うという保障がありません。
 若干、少し譲歩しても、自発的に支払わせるのが賢明ないことがあります。

 また、家族間の紛争なら「一方的な勝訴」というのは好ましくない場合も多いです。
 ですから、調停前置=まず、話し合いがあるんですね。

 なお、訴訟において「勝つ」ことを目的とする場合、局地戦で勝勢であっても、あえて最終的勝訴にまでいかず、相当なところで講和(和解)する場合もありえます。

 また、局地戦に勝つことも大切ですが、少しの局地戦はゆずるにしても、最終的な勝ちの結論に導くこともが大切です。

 依頼者の意向もありますし、弁護士の永遠のテーマですが・・

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