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外国事情 バックナンバー2/2

ワーテルロー

平成19年11月14日から、パリ北駅から発車するユーロスターが、ロンドンのセント・パンクラス駅に到着するようになりました。
 それまでは、パリ北駅から出発するユーロスターの到着駅はウォータールー駅でした。

 クロード・モネの作品に「ウォータールー橋」があります。
 すぐそばに、ウォータールー地下鉄駅があります。
 また、ビビアン・リー主演の映画で、邦題「哀愁」の原題は「Waterloo Bridge」ですね。

 この「Waterloo」は、フランス語読みでは「ワーテルロー」となり、1815年にウェリントン指揮下の諸国連合軍がナポレオンに勝利し、最終的にナポレオンが失脚することになった戦闘の舞台です。現在ベルギー領ですね。
 そして、イギリスの「Waterloo」「駅」や「橋」は、イギリスがフランスに勝利した戦いの名前にちなんでつけられています。

 ある程度、勘のいい人なら気付かれましたよね。

 よりにもよって、イギリスとフランスを結ぶユーロスターのイギリス側の終着駅が、フランス人にとって忌々しい「ワーテルロー」駅なんだ、というフランス市民の怒りが大爆発したらしいです。
 ニューヨークの空港のうち、日系航空会社の航空機の発着する空港に「ニューヨーク・ミッドウェイ空港」と名付けたり、ロシアからの定期船航路のつく港を「秋田・203高地港」と名付けたりするようなものですから「喧嘩うってんのか!」となりますよね。

 ある意味、現代イギリスの鉄道技術の低さがもたらした(先進国の中でも最低ランクに位置するほど凋落してしまいました)ものなのですが(他の駅を発着駅にする選択の余地はありません)、フランス側から、せめて「Waterloo「駅」の改名だけを求められても、これだけ歴史・由緒のある駅の名を変えるわけにいかなかったというのが実情のようです(変えたくなかったという説もあります)。

 ちなみに、ユーロスターが、ウォータールー駅に代わってセント・パンクラス駅発着となる前後に、ナポレオンが群集に向かい、「WATERLOOを忘れろ」と宣言する姿を描いた広告が、パリを中心に新聞や駅などに、ユーロスター運行会社により掲載されたそうです。

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