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金融・経済 バックナンバー

ハイパーインフレ

日本の数字の表現は、基本的に、中国の数字の表現に準拠しています。

 つまり、
一(1)
十(10)
百(10^2)
千(10^3)
万(10^4)
億(10^8)
兆(10^12)
京(10^16)
垓(10^20)
穰(10^24)
溝(10^28)
澗(10^32)
正(10^36)
載(10^40)
極(10^44)
恒河沙(10^48)
阿僧祇(10^56)
那由他(10^64)
不可思議(10^72)
無量大数(10^80)
となります。
 「^○○」とあれば、「○○」の数だけ0を並べます。

 「兆」(10^12)「京」(10^16)くらいまでなら、日本人ならおなじみです。

 次の「垓」(10^16)はどうでしょう。
 1垓=10,000,000,000,000,000ですね。

 ジンバブエという国がアフリカあります(日本国債と格付けが一緒になったといわれたのは「ボツワナ」です。誤解のないように)。
 通貨は「ジンバブエ・ドル」(ZWR)、インフレ率は公式で2億3100万% (2008年7月ですが、実数の推定は、897垓% (2008年11月14日現在) となっています。紙幣は、$1億札、$2億札、$5億札、$10億札、$50億札、$100億札、$200億札、$500億札、$1000億札

  インフレ率、推定897「垓」%というのはすごいですね。

  「1ドルは何ジンバブエ・ドルか」 によりますと、コラムを書いている時点の最新のニュースで、1ジンバブエ・ドル=15,656,566ジンバブエ・ドルです。
 もちろん、公式の数字の話で、実勢レートは、完全に乖離しています。実勢レートは、$1000億札が必要なくらいですから、推して知るべしです。
 ちなみに、北朝鮮のウォン(圓)の公式レートは、1米ドル=200ウォン程度ですが、韓国ウォン(圓)=約1337ウォンですから、北朝鮮ウォンが韓国ウォンより値打ちがあることになりますが、そんな馬鹿な話はありません。

 異常なインフレのことを「ハイパーインフレ」といいます。

 第1次世界大戦後のドイツもハイパーインフレにおそわれました。
 第1次世界大戦中よりドイツではインフレが進行していましたが、高額な賠償金支払いのために、致命的な状況へと導かれ、空前のハイパーインフレが発生しました。この結果、1年間で対ドルレートで7ケタ以上も下落するインフレとなり、100兆マルク紙幣も発行されました。
 1レンテンマルク=1兆マルクとしました。
 100兆マルク札も、100レンテンマルク札となりました。

 もちろん実体経済によるのですが、案外「貨幣の刷りすぎを」「やめる」と政府・中央銀行が断固とした政策をとり、それが、ちゃんと実施されれば、おさまるものらしいですが。

 日本でも、戦中戦後に、ハイパーインフレといわないまでも、相当なインフレがありました。
 戦時中は、普通ならインフレで価格が相当上昇するはずですが、価格統制、配給制、国債発行などの政策で何とかインフレを防いでいますが、それでも2倍を超え、ヤミ価格ではもっと上昇していたそうです。
 「愛国国債」を購入させられた人も多かったでしょうね。
  昭和21年から、インフレ対策のために、政府が行ったのが「新円切替」と「預金封鎖」。です。
 通貨供給量を減らすため、5円以上を新紙幣(新円)に切り替えると言う理由で強制預金させます(旧紙幣は流通停止)。
 さらにその旧円預金を封鎖して、一家族が1ヶ月に引き出せる金額を500円に制限させます。インフレ防止策としてはかなりの「荒療治」でした。

 ただ、大幅なインフレのおかげで、政府は、戦時国債の償還はずいぶん楽になりました。
 逆に、政府が意図的にインフレをおこして、国債の償還を免れたという経済学者もいます。
 どちらが真相なんでしょうか。

 「国及び地方の長期債務残高」 をご覧下さい。

 国、地方あわせて、日本のGDPの147.6%(本当は、もっと多いという経済学者がいます)、戦中で、国債残高は、GDPの200%近くあったそうですから、「もうそろそろ、政府が意図的なハイパーインフレをおこす」という人もいます。

 常識的に考えて、GDPの147.6%は、返済が不可能といっていいでしょうね。
 償還を予定しない事実上の「永久国債化」となるのか、ハイパーインフレによる「借金踏倒し」になるのか、それとも、その他の選択肢があるのか。
 私にはわかりません。誰にもわからないでしょう。

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