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年金削減と財産権の侵害
日本航空の経営再建問題で、企業年金の支給額削減が大きな焦点となっています。
日本航空は、退職者に将来にわたって支払う給付金約3000億円が積立て不足に陥っていて、それを営業利益から補填しているため、経営を圧迫しています。
しかし、受給者保護のため、企業年金の削減は簡単にできない仕組みになっています。
つまり、 日本航空の年金は、平成14年に施行された「確定給付企業年金法」に基づいていて、賃金の後払いの性格が強いことから、同法で受給権が保護されています。
同法によりますと、支給額を圧縮するには、(1)企業や基金の財政状態が悪化している(2)受給者の3分の2以上の同意を得るなどの条件を満たすことが必要です。
しかし、3分の2以上の同意など無理でしょうね。
ちなみに、日本国憲法80条2項には「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない」と定められています。
しかし、下級審の裁判官(最高裁判所を除く。要は、高等裁判所以下ということになります)が、(渋々でしょうが)全員同意しているというフィクションで、裁判官の報酬は下がり続けています。
国の財政に影響があるほど、裁判官数は多くありません。
裁判官は「高貴なものの義務」として受入れています。
最初から、びっくりするくらい高いものですが・・。もっとも、仕事の内容からすると、割が合わないのも事実です。
話を戻して、日本航空が、法的整理となった場合でも、「強制的な年金削減が可能なのは、会社を清算する破産だけで、存続を前提とした民事再生法や会社更生法でも削減できない可能性が高い」ことは間違いないでしょう。
このため、政府は特別立法による強制削減を検討していまする。
民間企業の年金を法律で削減するという強硬手段を取らざるを得ない背景には、日本航空再建には公的資金の投入が不可避だと考えていることがあります。
政府の特別立法は、削減した場合でも、日本航空が破産した場合に受け取れる年金より高額にする必要があります。
年金の受給権は、優先債権ですから。
そうしないと、特別立法による強制削減については、政府内には財産権の侵害に当たり、訴訟になった場合に、敗訴する可能性がないとは一概にいえません。
私は、端的に、破産と第二会社に対する営業譲渡で足りると考えています。
仮に、政府が強制減額の法律を制定し、日本航空を存続させれば、法廷闘争に発展するでしょう。
ただ、裁判所も難しい判断を迫られるという意見もありますが、裁判官自身が、憲法違反の報酬減を受け入れていることもあり、経済情勢を考えるとやむを得ないと考え、違憲との判断にはならないように思います。
意見とすると、せっかくの日本航空再建がどうなるかもわかっているでしょうし。